国内エネマネ市場は800億円規模へ、“卒FIT”太陽光が追い風に省エネ機器(1/2 ページ)

富士経済が国内のエネルギーマネジメントシステム(EMS)市場の調査結果を発表。2030年度には2017年度比24.1%増の855億円と予測している。

» 2018年09月21日 07時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 市場調査の富士経済は2018年9月、エネルギーマネジメントシステム(EMS)関連の国内市場を調査し、結果を「2018エネルギーマネジメントシステム関連市場実態総調査」にまとめた(調査期間2018年5〜8月)。

 EMS関連の国内市場は、2030年度にはEMSが2017年度比24.1%増の855億円。スマートメーターや蓄電システムなどの関連設備と、省エネや需要予測などの関連サービスの両分野は、共に2017年度比2.4倍の8412億円、7207億円に増加しそうだ。このうち、エネルギー設備リースサービス(分散型電源など)は2017年度比2.2倍の2000億円に達すると予想している。

EMS関連の国内市場推移の予測 出典:富士経済

 EMS関連の国内市場は、電力コスト削減機運一巡による需要停滞や、導入メリットの希薄さからボリュームゾーンである既築住宅や中小規模業務・産業需要家に普及が進まず伸び悩んでいるが、VPP(バーチャルパワープラント)やDR(デマンドレスポンス)の実運用による、需要家側での電力需給調整ビジネスの本格化、エネルギーデータの活用シーン拡大による新たなビジネスの展開など、サービスビジネスの立ち上がりが期待され、市場は新たなフェーズを迎えようとしている。

 EMS市場は、住宅分野では2030年度に向けたZEHの普及推進、非住宅分野では大規模再開発案件の活況やビル管理者などの不足などが拡大を後押ししているが、新築物件数が大幅に増える余地がなく、リプレースが中心であることから、小幅な伸びにとどまっている。

 EMSは住宅分野では大手ハウスメーカーや、非住宅分野では大規模再開発案件を中心に採用・導入が進んでいるものの、中小規模のハウスメーカーや再開発案件ではコストの問題もあり進んでいない。今後の市場の伸びは中小規模のハウスメーカーや再開発案件への採用・導入次第で変化していくと予想される。

 関連設備市場では、非住宅向けはリプレースが中心であることから短・中期的に伸びが停滞する品目もあるが、VPP/DRの実運用が進めば、市場が拡大すると期待される。また、省エネや再生可能エネルギーの推進施策の動向によって伸長する品目もあるとみられる。

 需要家用蓄電システムやV2XなどはFIT終了後、特に、住宅分野でエネルギーの自給自足ニーズに対し太陽光発電システムとのセット提案が進むとみられ、伸長を加速させると予想される。関連サービスには住宅向けサービスやビル・店舗・工場向けサービス、一般電力・新電力向けサービス、再生可能エネルギー運用事業者向けサービスなどがあり、特に、スマートメーターのデータ管理や分析、電力需給予測などをサポートするサービスに動きがある。また、事業を運営する上で設備投資を支援するリースサービスなどの活用も進んでいる。さらに、ポジワット/ネガワット取引市場の本格化も期待される。

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