自治体の動きに要注目、FITだけじゃないソーラーシェアリングの支援制度ソーラーシェアリング入門(11)(1/2 ページ)

農業の新しい収益源として注目が集まっている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」について解説する本連載。今回は「FIT制度以外に、ソーラーシェアリングの導入を支援するような補助制度はあるのだろうか?」というテーマについて考えます。

» 2019年02月19日 07時00分 公開

 「事業用太陽光発電のFIT価格は今後どうなるの?」という質問と同じくらいよく聞かれるのが「ソーラーシェアリングの補助制度はないの?」という質問です。そして、その質問への最もシンプルな答えは、「再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度(FIT)が最大の補助制度です」となります。間違いなく、FIT制度はソーラーシェアリング事業で活用できる最大の補助制度ではあります。

 とはいいつつも、今回は「FIT制度以外に、ソーラーシェアリングの導入を支援するような補助制度はあるのだろうか?」というテーマについて考えてみたいと思います。

着目したいのは地方自治体の施策

 国の政策の原則として、1つの事業に対して補助金の二重取りはできません。そのため、国の補助制度であるFIT制度を利用する事業で、さらに別の補助金の交付を受けることはできません。平成30年度予算で、環境省が農林水産省との連携事業としてソーラーシェアリングに対する補助制度が新設されましたが、対象は農業などにおいて、電気の自家消費を行うための設備に限られていました。これは、上記の二重取りが出来ないというところも関係した補助の仕組みともいえるでしょう。

 ただし、かつて住宅用太陽光発電で多く見られたように、地方自治体である都道府県や市町村が独自の補助金を交付することは、国による補助とは別枠となるので実施可能です。

 現在のところ、ソーラーシェアリングの設備設置費用などに対して直接補助金を交付する地方自治体は見当たりませんが、2018年になって興味深い事例が出てきました。秋田県南秋田郡井川町では、町内の農業者がソーラーシェアリング設備を導入するに際して、地元の秋田信用金庫によるソーラーシェアリング向け融資メニュー(「ソーラーシェアリングローン SORA」)を利用すると、利子補給が受けられる、という制度をスタートさせています。

 全国の金融機関で、ソーラーシェアリングに特化したローンは私の知る限り初めての事例ですし、さらにそこへ地元自治体が利子補給を行うというのはより画期的な取り組みです。井川町では、2017年に設置された株式会社アイセスによる水田ソーラーシェアリングの取り組みが有名ですが、2018年7月には町内で第2弾となるソーラーシェアリング設備がこの融資メニューを利用して、地元の農業法人によって設置されたことが話題になりました。

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