その太陽光発電、転売できない可能性も! セカンダリー市場に向け今必要な視点太陽光(1/3 ページ)

稼働済みの発電所を売買する「セカンダリー市場」。日本でも将来の市場活性化が見込まれるものの、足元の状況をみると大きな問題も。

» 2019年02月20日 07時00分 公開

 太陽光発電における「セカンダリー」とは、既に稼働済みで発電量の実績などを持つ発電所のことです。新設の発電所とは異なり、発電量に対するキャッシュイン(売電)、キャッシュアウト(O&Mコストなど)の実績があることがメリットとして挙げられますが、現状日本においてはまだこうした「中古発電所」の売買は盛んではないというのが現状です。

 特に高圧、特別高圧に関してはほとんどない状況です。その理由については、もともと20年、30年にわたって自社で持つ前提で建設された発電所が多く、セカンダリーを想定した案件が少ないということが挙げられるでしょう。

 こうした状況の中でも、積極的に転売物件を買いに来ているのが、日本のリート(不動産投資信託)に注目している海外の投資家です。海外投資家は日本の海外と比較して安定した政治環境、トラッキングレコード(運用記録)があることや信用度の高さを評価しており、さらに日本のリート(不動産投資信託)に関して、彼らは目新しい物件を常に入れる必要があるため、高い購入意欲があります。太陽光発電所への投資については、あまり小さな発電所だとリターンが少ないため、高圧以上をターゲットとする場合がほとんどです。

 そのため、日本でも高圧については転売されているケースがみられます。転売の目的としてよく挙げられるのが税制優遇です。例えば「グリーン投資減税」や「生産性向上設備投資促進税制」を目的に、一括償却のために発電所をつくったが、もう必要ないので売るといったケースがあります。ただ、今転売してしまうと税金をすごく払わないといけない場合もあるので、転売時の値段設定が買い手の希望より高いものが多く、結果的セカンダリー市場はそこまで活性化していないというのが現状です。

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