日立造船は長野市と市内の小中学校と高校にごみ焼却時に生まれる余剰電力を供給する契約を結んだ。市内のごみを焼却する際のエネルギーを活用し、電力の地産地消を目指すという。
日立造船は2019年2月、長野市とモデル事業として電気需給契約を締結したと発表した。今回の契約に伴い、同市立の小中学校、高校の計80校を対象に、ごみ焼却発電による電力供給を行う。ごみ焼却発電によるエネルギー地産地消の取り組みは、同社初の事例になるとしている。
現在、日立造船を代表企業とするコンソーシアムが建設中のごみ焼却発電施設「ながの環境エネルギーセンター」(2019年3月稼働予定)で発電される年間約3200万kWh(キロワット時)の余剰電力を、同社が全て買い取り、長野市立の小中学校、高校、計80校に供給する。電力料金(現状と同一電力使用量で比較した場合)の削減に加えて、CO2排出量の削減を見込めるなど環境へのメリットも期待できるという。電力供給は2019年4月〜2022年3月までの3年間を予定している。
今後、同社は長野市と連携を図り、供給対象となる学校の児童・生徒に対して、環境教育の出前授業や、社会見学、環境教育情報紙などを通じて、ごみがエネルギー源となるサーマルリサイクルやごみ焼却発電施設の役割などを伝える。さらに、「自分たちが出したごみが電気となって、自分たちの学校で使われる」という循環型社会について学ぶ機会を提供することで、長野市の温暖化対策の推進に貢献することを目指す。
日立造船では2015年7月1日から小売電気事業を展開している。主な電源は同社が納入したごみ焼却発電プラントで、1kWh当たりのCO2排出係数が0.085kg(2016年度実績。調整後排出係数)と非常に低く、環境負荷の少ない電気であることが大きな特徴だ。引き続き、同社グループは「循環型社会の実現に向けたソリューションプロバイダー」になるという事業目標に向かって、地域の低炭素化に向けた電力の地産地消を積極的に提案するとともに、再生可能エネルギーの普及に努め、SDGs(持続可能な開発目標)達成を目指す。
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