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» 2019年03月13日 07時00分 公開

ソーラーシェアリング入門(12):ソーラーシェアリング関係者は必見! 農水省の最新資料とデータを読み解く (1/2)

農業の新しい収益源として注目が集まっている「ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電事業)」について解説する本連載。今回は農林水産省が公開した最新の資料・データを読み解きながら、近年のソーラーシェアリングの動向と今後の見通しについて解説します。

[馬上丈司 千葉エコ・エネルギー株式会社 代表取締役,スマートジャパン]

 2019年2月に農林水産省が発行する「営農型太陽光発電取組支援ガイドブック」と、2018年3月時点での営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)の一時転用許可件数についての資料がアップデートされました。今回は、この新たに公表された情報について解説していきます。

農林水産省「営農型太陽光発電取組支援ガイドブック」。ちなみに表紙写真は千葉エコ・エネルギーの「匝瑳飯塚 Sola Share 1号機」の大豆です。

ガイドラインの掲載事例が15件に増加

事例紹介の一例 出典:農林水産省「営農型太陽光発電取組支援ガイドブック」

 営農型太陽光発電の取組支援ガイドラインでは、地域の農業振興に貢献しているソーラーシェアリングなど、特徴的な案件が紹介されてきましたが、今回の更新ではその事例数が15件へと大きく拡充されました。全体の傾向として、水稲栽培の事例が増えており、これは先日の千葉大学との調査結果で明らかになった、ソーラーシェアリング設備下での栽培作物の事例における水稲の多さとも符合するところがあります(関連記事)。水稲は「ソーラーシェアリングの下で何か作っておけばいい」という考え方で選ばれる作物ではなく、地域での営農継続の意欲があってこそ取り組まれる作物だといえますから、こういった事例集に掲載されるような取り組みが出やすいのでしょう。

 また、従来はソーラーシェアリングを設置した発電事業者の視点から事例が取り上げられていましたが、今回は全ての事例で、設備下で営農する“農業者の視点”での取り組み紹介が行われています。農業経営の経過や課題、ソーラーシェアリングに取り組むに至った経緯が書かれており、今後の新たな取り組みに向けた参考になる情報が集約されています。

金融機関の融資メニューや補助制度の情報も充実

 今回のガイドブックの更新でさらに情報拡充が図られたのは、国や地方自治体によるソーラーシェアリング導入の支援につながる制度の紹介や、各地の金融機関による融資メニューの情報です。導入支援につながる制度では、以前のソーラーシェアリングの補助制度に関する記事でも紹介した、井川町のソーラーシェアリング設備融資に対する利子補給や、神奈川県のソーラーシェアリングバンクなども掲載されています(関連記事)。

 国の支援施策については、事業者側が「何をしたいか」に応じて、政府機関の窓口情報と支援内容の資料がまとめられており、これまで省庁ごと散逸していた情報が一目で分かるようになっています。

 金融機関の融資メニューは、農林水産省から各地の金融機関に対するアンケート調査の結果として掲載されており、ソーラーシェアリングへの融資実績がある城南信用金庫や日本政策金融公庫、先述の井川町の補助金ともリンクした秋田信用金庫の事例などが掲載されています。また、各地のJA(農業協同組合)が融資メニューを適応可能と回答していることが目を引きます。

 2018年に神奈川県庁が主催した厚木市でのソーラーシェアリングセミナーでも、JAあつぎから融資メニューの紹介があり、これまではソーラーシェアリングに消極的とみられてきたJAの姿勢が、地域単位で変化しつつある様子もうかがえる内容となっています。融資メニューについては、単なる金融機関名の列挙ではなく、具体的な内容、対象者や利用要件・利用方法が記載されているので、必見です。 

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