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» 2019年07月22日 07時00分 公開

電気自動車:太陽光で40km以上走るプリウスPHVを実証、ボディに3接合型太陽電池を搭載

シャープ、トヨタがNEDOのプロジェクトとして、高効率太陽電池を搭載したプラグインハイブリッド車による公道走行実証を始める。変換効率30%を上回るシャープの化合物3接合型太陽電池を搭載しているのが特徴で、EV航続距離の向上などに役立つかを検証する狙い。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 シャープ、トヨタがNEDOのプロジェクトとして、2019年7月下旬から高効率太陽電池を搭載したプラグインハイブリッド車による公道実証を始める。車両に搭載した太陽電池が生み出す電力を活用し、燃費や航続距離の向上を目指すのが目的だ。同月に開催された「第14回再生可能エネルギー世界展示会」(パシフィコ横浜)で、この実証に用いる車両が披露された。

展示された実証車両

 太陽電池を搭載するのは、トヨタが販売している「プリウスPHV」をベースとした車両。ルーフ、フード、バックドア、バックドアガーニッシュに、合計860W(ワット)の太陽電池を搭載する。トヨタは市販しているプリウスPHVでルーフに太陽電池を搭載したモデルを展開しているが、実証車両の860Wという搭載容量はこの市販車両比の4.8倍だ。

 市販車両とは容量だけでなく、太陽電池そのものの種類も大きく異なる。搭載するのはシャープがNEDOのプロジェクトで開発を進めてきた化合物3接合型の太陽電池だ。これは主にインジウムガリウムリン(InGaP)、ガリウムヒ素(GaAs)、インジウムガリウムヒ素(InGaAs)の3種類の化合物を積層することで、一般的なシリコン太陽電池などより、さらに広い太陽光の波長を電力に変換できるようにしている。今回搭載する太陽電池の発電効率は34%以上だという。

 実証車両では薄いフィルムに転写した0.03mmの太陽電池モジュールを、貼り付けるようにして設置している。フィルム状とすることで、曲面形状に沿って効率よく搭載することができ、車両に搭載できる太陽電池の容量を増やすことができたという。

実証車両に設置した太陽電池モジュール

 シャープの化合物3接合型の太陽電池は、日本製の人工衛星に広く採用されている。ただ、一般製品に導入するには高額なコストが課題で、量産によるコスト低減などにつなげるためにも、今回の実証を通じて新たな需要の開拓を進めたい考えだ。

 この他、太陽電池を搭載するプリウスPHVの市販車両では、発電した電力を停車中は駆動用バッテリーに、走行中は始動用の12Vバッテリーに供給する仕組みとなっている。この市販車両では、駆動用バッテリーへの充電が行えるのは駐車中のみだったが、実証車両では走行中にも充電できるようにした。なお、実証車両は駆動用バッテリーに太陽電池で1日充電を行うことで、44.5kmのEV航続距離を見込めるという。

 実証実験はの実施場所は、愛知県豊田市や東京都を予定している。さまざまな条件下で走行を行い、太陽電池の発電量や駆動用バッテリーへの充電量などのデータを集め、太陽電池を利用した車載用充電システムの開発に生かす方針だ。

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