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» 2019年07月29日 07時00分 公開

太陽光:大きく変わった太陽光発電の「設計ガイドライン」、押さえておくべきポイントは? (1/3)

太陽光発電システムの長期耐久性を高め、安全を確保するための「設計ガイドライン」が2年ぶりに改訂された。「PV2019太陽光発電フォーラム」で行われた構造耐力評価機構・高森氏の講演をもとに、生まれ変わった設計ガイドラインのポイントを整理する。

[廣町公則,スマートジャパン]

 太陽光発電の安全性向上に向けて、架台の設計に関する「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版」が2019年7月9日に公開された。設計ガイドラインの策定はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)のプロジェクトの一環として2016年にスタートし、太陽光発電協会と奥地建産が受託事業者として参画するかたちで、翌年「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2017年版」としてまとめられた。今回発表された2019年版はこれを改訂したもので、架台や基礎の強度、腐食進行などに関する実証試験結果を反映させるとともに、太陽光発電の安全性に対する社会的関心の高まりを受け、2017年版にはなかった要素も多数盛り込まれることとなった。

50年に1度の災害を設計のベースに

構造耐力評価機構の理事・高森浩治氏

 「PV2019太陽光発電フォーラム」(主催:太陽光発電協会主催、会場:パシフィコ横浜)において、設計ガイドライン改訂作業の事務局を務めた構造耐力評価機構の理事・高森浩治氏が、2019年版について解説した。2019年版は8章からなり、主な改訂内容は「5章 使用材料」の新設、および「6章 架台の設計」「7章 基礎の設計」「8章 腐食防食」の全面的な更新だ。全体のボリュームは、2017年版の1.5倍にも及ぶという。また、構造設計に有用な情報提供を目的に、「技術資料」や「設計例」の充実も図られた。

 はじめに高森氏は、設計ガイドラインにおける構造設計は「許容応力度設計」に基づいているとして、十分な余裕をもって設計することが重要であると話す。許容応力度設計とは、設計荷重レベルの荷重を受けても元に戻ることを基本とするもので、部材が破壊する荷重(最大荷重)を基にするものではない。さらに、50年に1度程度のまれに起こる大規模な地震・暴風・大雪を想定して、許容応力度設計を行わなければならず「これまで被害がなかったから大丈夫」などという発想ではいけないと説く。

アルミ架台の導入に指針与える

 新設された章である「使用材料」においては、従来前提とされていた鋼材に加え、アルミニウム合金材やコンクリートについても記された。アルミニウム合金材に関しては、「使用される目的・部位・環境条件・耐久性等を考慮して適切に選定する」とともに、材質・形状・寸法は原則として「アルミニウム建築 構造設計基準・同解説」(アルミニウム建築構造協議会)に従うことが求められている。ただし、海外からの輸入材は、この基準に合わない場合もあるので、強度特性や耐久性を十分に確認した上で使用しなければならないという。

太陽光発電システムの構造設計例(アルミ合金製架台/一般仕様) 出典:地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版

 続く「架台の設計」では、安定構造を実現するためのポイントを整理する。基礎については、柱脚部に作用する水平力によって杭頭部に変位が生じ、この変位により上部の架台やアレイが損傷するケースがあることを指摘。架台の実情を反映したモデルを使って構造解析を行い、各部材および接合部の剛性を適切に評価することが重要であり、特に杭基礎の場合は杭の変位に考慮した上部構造のモデル化を行うことが推奨される。

 アルミニウム合金製架台においては、「構造耐力上の主要な部分に用いるアルミの板圧は1mm以上」とされる。熱処理によって強度を高めたアルミニウム合金の場合は、「脆(ぜい)性的に破壊しやすくなる傾向」にあるので、部材断面に余裕を持たせることが望ましいとのこと。また、溶接をする場合や「鋼材に比べて支圧強度が低い」場合は、「母材と溶接影響部では許容応力度が異なる」ことに留意する必要もある。

台風によって破断したアルミ架台 出典:地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2019年版
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