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» 2019年08月26日 07時00分 公開

重要性を増す「太陽光発電事業の評価ガイド」、FIT認定の取り消し回避やセカンダリー市場の指標にも太陽光(2/3 ページ)

[廣町公則,スマートジャパン]

事業の“適正さ”を多面的に担保する

 評価ガイドは、太陽光発電事業の適正さを「事業の構成要素×プロセスの構成要素」と捉え、事業の構成要素には「権原・法令等手続」「土木・構造設備」「発電設備」、プロセスの構成要素には「適正な設計」「適正な施工」「適正な運用」があると整理する。そして、それぞれに詳細な評価項目が設定されており、その総数は162項目にも及ぶ。このうちのどれか1つが欠けても、適正さが担保されているとはいえないのだ。

 適正さの欠如は事業リスクに直結する。収益性に影響するリスクから、事業自体の存続に関わるリスクまで、リスクの大きさはさまざまだが、評価ガイドを活用することでリスクの種類と程度を見える化することができる。例えば、法令等の手続きの不備は、使用中止や許可取消の措置命令を受けることにつながり、事業の中断や廃止に至るおそれもある。最悪の事態は免れたとしても、是正のための支出により収益減少は避けられない。

 実際、2019年3月に沖縄県で全国初のFIT認定の取り消しがあり、大きな社会的関心を集めた。筒井氏は、これについて「沖縄の事例は『関係法令の順守』に違反したものだが、具体的には、農地法と農振法(農業振興地域の整備に関する法律)への違反とされている。そもそも手続きをしたとしても、許可が下りる可能性のない農用地区域であったため、あえて申請もしなかったという可能性もある。これを知った地方自治体が行政指導を行っても従わず、国が改善命令を出しても改善しなかったため、認定取消にまで至った。これは、悪質な違反事例だ」と話し、評価ガイドを参照して適正な手続きをすべきことを訴えた。

FIT認定の取り消しに至るまでのプロセス(沖縄県の事例)

 今回の沖縄のような悪質事例は例外的であるとしても、「関係法令の順守といわれても、具体的にどの法令のどこに注意すれば良いのか分からない」という事業者もいるだろう。悪意がなくても、結果として関係法令に違反してしまう場合もあるかもしれない。そうしたリスクを顕在化するために、評価ガイドでは、関係法令について具体的に明記し、どこに、どう留意すべきかを列挙している。前述の農地法や農振法だけでなく、国土利用計画法、土地計画法、宅地造成等規制法、砂防法、急傾斜地災害防止法、地すべり等防止法、森林法、河川法、海岸法、港湾法、自然環境保全法、自然公園法、土壌汚染対策法、景観法、文化財保護法、鳥獣保護法、道路法、廃掃法、地区計画条例、環境アセスメント法、その他所在都道府県及び市町村条例で定める手続きの確認まで幅広く網羅する。

 このように記すと、評価ガイドは「権原・法令等手続」を重視している印象を受けるが、実際には「発電設備」や「土木・構造設備」に関する評価に、より多くのスペースを割いている。評価ガイドは、太陽光発電事業を多面的に評価し、これまで見落とされがちだった領域にも目を向けさせ、発電事業全体の適正さを担保できるよう作られているのだ。

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