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» 2019年12月27日 18時30分 公開

電気自動車:人命を守る「防災情報」を止めないために――「特務機関NERV」の災害対策車が登場 (1/2)

災害時に防災情報の配信を止めないために――。ゲヒルン、三菱自動車、スカパーJSATの3社が、災害時に停電や通信網が途絶した場合でも防災情報を配信できる災害対策車を発表。2020年2月1日から、東京と札幌の2エリアで運用を開始する。

[陰山遼将,スマートジャパン]

 災害時に防災情報の配信を止めないために――。ゲヒルン、三菱自動車、スカパーJSATの3社は、災害時に停電や通信網が途絶した場合でも防災情報を配信できる災害対策車を発表した。プラグインハイブリッド(PHEV)車に搭載する蓄電池を非常用電源として活用し、災害時に安全の確保に役立つ防災情報の継続的な配信や、近隣自治体への支援が可能な特別車両だ。2020年2月1日から東京と札幌の2エリアで運用を開始する。

開発した災害車両「特務機関 NERV制式自走式電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)」。「NERV(ネルフ)」はアニメ「エヴァンゲリオン」が由来(公認済み)

 車両の運用を担当するゲヒルンは、「日本をもっと安全にする」をミッションに掲げる2010年創業のセキュリティ・インフラサービス企業。地震や津波、特別警報などの速報や防災気象情報を配信する発信するTwitterアカウント「特務機関NERV」や「特務機関NERV防災アプリ」の配信などを手掛けている。

 ゲヒルンの代表取締役の石森大貴氏は宮城県石巻市出身。2011年の東日本大震災の際に、自身の実家も津波による損壊を受けるなど、大きな被災を経験。そうした震災のさなか、石巻市の被災状況をブログで発信したり、計画停電の際には特務機関NERVのTwitterアカウントで節電を呼びかけたりなど、“防災情報の伝達”に取り組んできた。

ゲヒルン 代表取締役の石森氏
「特務機関NERV防災アプリ」のイメージ

防災情報の“伝わらなさ”を解消する

 石森氏がこうした震災の経験の中で感じたのが、防災情報をリアルタイムに届けることの難しさだという。「実際の被災地では、停電でテレビがつかなかったり、手元にラジオの準備がなかったりなど、防災情報をリアルタイムに入手することが難しい。実際に、石巻市では、多くの住民の方々が津波などの防災情報をキャッチできていないという状況でした」(石森氏)

 こうした“防災情報が届かない”という課題の解決に向けて、ゲヒルンでは東日本大震災以降、総務省が運用する災害情報基盤「Lアラート」の一般情報伝達者の認定や、気象庁から各種の気象予報を発信できる伝達予報業務可事業者としての認定を受けるなど、防災情報の配信体制を構築。さらに、情報を素早く、かつわかりやすく伝えるために、配信速度の向上や、独自のGUI(グラフィックユーザーインタフェース)を構築した「特務機関NERV防災アプリ」をリリースするなど、さまざまな取り組みを進めてきた。

 しかし、石森氏はゲヒルンがこうした防災情報を配信する“メディア”へと立ち位置が変化する中で、新たな課題を感じるきっかけがあったと話す。それが2018年9月に発生した北海道胆振東部地震だ。この地震の影響により、ゲヒルンのグループ会社が所有する石狩市のデータセンターでは、非常用発電機の燃料確保に奔走することになったという。「ゲヒルンは非常時にもサービスを止めないための冗長化対策として、全国にある6つのサーバを利用している。ただ、北海道地震を経て、防災情報のメディアとして、災害時にも情報発信を継続できる体制を構築しなくてはという危機感が高まった」と話す。

 こうした背景から、災害時にも情報発信に必要な電力と通信網を自力で確保できるように――という想いで立ち上げたのが、今回発表した災害対策車両「特務機関 NERV制式自走式電源供給・衛星通信車両 5LA-GG3W(改)」のプロジェクトだ。

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