CO2を低温で簡易に資源化できる、早稲田大学が新手法の開発に成功自然エネルギー

早稲田大学の研究グループが二酸化炭素を従来手法より低温で簡易に資源化できる触媒技術の開発に成功。再エネ由来水素と組み合わせ、二酸化炭素を「欲しいときに欲しいだけ」資源化できるという。

» 2020年01月24日 07時30分 公開
[スマートジャパン]

 早稲田大学は2020年1月、二酸化炭素と再生可能エネルギーで得られる電力・電解水素を、常温から100度台の温度で反応させて資源化する、新しい手法の開発に成功したと発表した。欲しいときに欲しいだけ、二酸化炭素(CO2)を再び資源化でき、地球温暖化の抑制などへの貢献が期待できる成果としている。

 これまで二酸化炭素を再び資源化するためには、高温で水素と固体触媒を用いて還元し、一酸化炭素やメタンなどへ転換する方法が知られています。このプロセスは、ドイツでは「Power to Gas」と呼ばれ、すでに実証が進められているという。ただ、手法は400℃程度の比較的高い温度を必要とするため、フレキシブルに二酸化炭素を資源化することが難しかった。

 今回、早稲田大学の研究グループはルテニウムの金属微粒子を、半導体材料であるセリウム酸化物の上に微細に載せた固体触媒を開発。再生可能エネルギーから得られた電力で製造した水素を利用し、開発した触媒に弱い直流電場を印加すると、二酸化炭素が効率よく一酸化炭素やメタンへと資源化されることを発見した。

図1 ルテニウム金属微粒子をセリウム酸化物半導体に載せた触媒のイメージ。直流電場中で容易に二酸化炭素を資源化することが可能だという 出典:早稲田大学

 従来の触媒プロセスは、高温で温めて反応することを待つものだったが、発見した手法はセリウム酸化物に直流電場を与えることで、反応を意図的に誘発させるという点が異なるという。そのため、欲しいときに欲しいだけ二酸化炭素を資源化することができ、地球温暖化の抑制や化石燃料利用の削減に大きく貢献できるとしている。

 なお、今回の研究成果は、『Chemistry Letters』のオンライン版に2020年1月22日午前9時(日本時間)に掲載された。

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