国内初の「民間電力取引所」でP2P取引実証、住友林業が再エネ活用を視野にエネルギー管理

住友林業が国内初の民間電力取引所を活用した電力小売事業の実証実験を開始すると発表。電力取引基盤の開発を進めているベンチャー企業のデジタルグリッドが開発するプラットフォームを利用するもので、住友林業が仲介事業者として、発電家と需要家側で電力の直接取引(P2P取引)を実施する。

» 2020年02月18日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 住友林業は2020年2月、国内初の民間電力取引所を活用した電力小売事業の実証実験を開始すると発表した。電力取引基盤の開発を進めているベンチャー企業のデジタルグリッドが開発するプラットフォームを利用するもので、住友林業が仲介事業者として、発電家と需要家側で電力の直接取引(P2P取引)を実施する。

 実証では住友林業が、デジタルグリッドが開発する電力取引基盤「デジタルグリッドプラットフォーム」を通して発電事業者と卸供給契約を結び、取次事業者として需要拠点に電力供給を仲介する。具体的には住友林業の住宅展示場5棟に対して電力を供給する。既に2月3日から順次切り替えを開始した。

 デジタルグリッドプラットフォームは需給予測機能や、発電事業者と需要家側を自動的にマッチングするシステムを備えた電力のP2P取引基盤。JEPXなどの卸電力取引所を利用せずに、発電事業者と需要家側で電力取引をできるようにすることを目指したプラットフォームだ。今後、再生可能エネルギー電源など出力変動の大きい電源の需給調整などにも活用できるよう開発を進めている。

 今回の実証では、デジタルグリッドプラットフォームの需給予測と自動マッチングシステムによるエネルギー管理コスト削減効果を検証する他、コスト削減効果が価格に反映できるかどうかを実証する。将来的には再エネの調達にも活用する方針。また、今回の自社展示場を活用した取り組みをきっかけに、段階的に実証実験を進めて顧客への新規サービスの創出につなげたい考えだ。

デジタルグリッドプラットフォームのイメージ 出典:デジタルグリッド

 実証ではさらに需要家となる住友林業の展示場に、デジタルグリッドが開発した再生可能エネルギー電源の電力自家消費の環境価値を測定する計器「デジタルグリッドコントローラー(DGC)」も設置。発電源情報をブロックチェーンで記録し、トラッキングを行う実験も並行して行う。なお、DGCで測定した環境価値は2020年4月以降に取引可能になる予定としている。

 住友林業では将来、太陽光発電を設置した家庭にDGCを取り付け、測定した環境価値を買い取るサービスの展開も検討するとしている。

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