発電設備が直接的に作物に損害を与えてしまうものの一つが、太陽光パネルからの雨だれ被害です。下の写真のように畝(うね)がえぐられたり泥跳ねで作物の生育が阻害されたりといった被害が発生しますが、これは実際に営農を開始するまで気づかないことが多いです。
架台の横桟設計によって雨だれを軽減することは可能ですが、架台メーカーでそのノウハウを持っているところはほとんど無く、メーカー提案の架台設計で考慮されていることはまれです。そのため、問題が発生してから発電事業者側が追加コストを負担して対策を行うことになってしまいます。
計画段階で取れる対策としては、太陽光パネルを固定する架台横桟の設計によって雨水を適切に処理できるようにしたり、雨樋などを設置したりする方法などがあります。
農業用機械が効率的に使えない場合も、作物の生産性が低下したり、作物の転換が困難になったりします。これは架台の高さが不十分、斜材・筋交いが干渉して支柱近くまで耕作できない、支柱間隔が狭くてロータリーがけなどができないといった問題に起因します。事業開始後に架台の高さを上げたり、斜材・筋交いの設計を変えたりしようとすると、全面的な強度計算のやり直しが必要になり、結果的に設備の建て直しが必要というケースもあります。
計画段階で取れる対策としては、さまざまな農業機械による作業体系を検証しておき、汎用的な作業導入が可能となることを踏まえた設計にすることです。架台を簡易にして建設時に数千円〜1万円/kW程度の架台コストを削減できたとしても、将来的な改修費用や農業生産の低下による事業廃止リスクの方がはるかに大きくなります。
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