調査で分かった太陽光パネルの納期遅延・価格高騰の実態、FIT申請に大きな影響もソーラーシェアリング入門(52)(1/2 ページ)

ソーラーシェアリングについて解説する本連載。今回は、筆者が専務理事を務める一般社団法人日本PVプランナー協会が実施した「太陽光パネルの価格高騰・納期遅延に関する緊急調査」の結果について解説します。

» 2021年12月13日 07時00分 公開

 2020年に新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、中国国内の製造業や物流が停滞したことで、太陽光パネルの供給に一時問題が生じていたことは記憶に新しいですが、今年に入って太陽光パネルの価格高騰と納期遅延が深刻化しています。

 一方、「第6次エネルギー基本計画」が策定され、足元では調達価格等算定委員会などの政府の有識者会議が開催されているものの、こうした太陽光発電市場をとりまく逼迫(ひっぱく)した状況がまるで存在しないかのように議論が進んでいることには強い違和感を覚えています。そこで、私が専務理事を務める一般社団法人日本PVプランナー協会において「太陽光パネルの価格高騰・納期遅延に関する緊急調査」を行いました。

 調査はWebフォームを利用して2021年11月5日〜12月4日にかけて実施し、108件の有効回答を得ました。ソーラーシェアリングを含む今後の日本国内における太陽光発電の普及拡大に関わる重大な問題であると考えていますので、本連載でもその結果を紹介したいと思います。

太陽光パネルの納期遅延、従来とは大きく異なる状況に

 まず、太陽光パネルの納期遅延についての調査結果から照会します。これまでは、通常1ヶ月以内の納期だったとする回答が46.3%で、そこに2〜3カ月以内の納期という回答を合わせると、88.9%が3ヶ月以内に納品を受けられていました。これが従来です。

 一方で、いま現在、太陽光パネルを発注した場合の納期は、3カ月以内と回答した事業者は16.7%しかなく、3カ月以上とする回答が35.2%、半年以上まで加えると46.3%となります。さらに納期未定とする回答も30.5%に達しており、太陽光パネルの調達にはこれまでにない異常事態が発生していることが分かります。

 来年の見通しについても、納期は3カ月以上とする回答が全体の57.5%に達し、全く見通せないとする回答も32.4%におよんでいます。すなわち、回答した事業者の90%近くが、来年も現在のような異常な納期が継続すると感じていることになります。

 こうした太陽光パネルの納期遅延は、FIT制度の運転開始期限や各種補助事業の完了期限にも影響することになるため、政策面での対応が欠かせません。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.