調査で分かった太陽光パネルの納期遅延・価格高騰の実態、FIT申請に大きな影響もソーラーシェアリング入門(52)(2/2 ページ)

» 2021年12月13日 07時00分 公開
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太陽光パネルの価格も高騰、FIT認定に大きな影響も

 太陽光パネルの価格については、新型コロナウイルス感染症による影響が出始めた2020年と2019年の比較と、2021年と2020年を比較した2つの質問を行いました。まず2020年と2019年を比べた質問では、前年比で価格が下がったとする回答が42.6%を占め、変わらないとする回答も24.1%と、新型コロナウイルス感染症の拡大も当時はそれほど大きな影響はなかったことが伺えます。

 一方で、2021年と2020年を比較した質問では様相が異なり、価格が下がったとする回答は1件のみで、変わらないを含めても12%にとどまります。そして、回答者の88%で価格上昇が起きているという回答になり、その内訳も15%以上増えたとする回答が31.5%と最も多く、次いで30%以上増えたとする回答が27.8%、50%以上増えたという回答も6.5%ありました。これは明らかに前年とは異なる傾向を示しており、単なる値上がりではなく価格高騰と言える状況が生じていることが伺えます。

 来年の価格見通しについては、回答者の75.9%が現在よりも値上がりすると答えており、現在と変わらないとする回答を含めると82.2%がこの価格高騰が継続すると感じていることになります。

 さらに、この価格高騰がFIT制度の事業計画認定申請に影響したかどうかという質問に対しては、48.9%で影響があったと回答し、その影響の内訳を聞くと認定申請を減らしたとする回答が57.6%、認定申請そのものを行わなかったとする回答も22%となっています。この結果からは、太陽光パネルの価格高騰によるコスト増加が太陽光発電事業を縮小させている傾向を見て取れます。

 今回の調査結果から、太陽光パネルをめぐる市場環境がこれまでとは大きく変化し、大幅な納期遅延や価格高騰が生じていることが明らかになりました。納期に関しては従来の2倍以上の期間が当たり前になり、納期未定という回答が1/3近くを占めるというのは異常事態です。価格高騰についても、1/3以上の事業者が30%以上値上がりしているという回答になり、昨年とは全く異なった様相を見せている他、来年もこの状況が継続するという見通しを多くの事業者が持っているため、FITの事業計画認定申請にも影響していることが明らかになりました。

 こうした問題は今後数年にわたって設置される太陽光発電事業のコストなどに跳ね返ることになり、調達価格等算定委員会でも取り上げられるべきテーマです。まずは速報として結果の公表を行いましたが、今後は必要な政策対応を働きかけていきたいと思います。

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