FIT価格は驚きの11.99円/kWh、3海域での着床式洋上風力の入札結果が明らかに自然エネルギー

国内3海域における着床式洋上風力発電プロジェクトの事業者が決定。すべて三菱商事と中部電力系のコンソーシアムが落札し、最も安い地域のFIT価格は11.99円/kWhだった。2030〜2035年までに8〜9円/kWhとなっている洋上風力のコスト目標の達成に、現実味を持たせる結果となった。

» 2022年01月05日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 経済産業省と国土交通省は2021年12月24日、再エネ海域利用法の入札に基づく、3海域での着床式洋上風力発電プロジェクトについて選定事業者を公表した。3海域全てにおいて三菱商事と中部電力系のコンソーシアムが落札した。

 「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」では、三菱商事エナジーソリューションズ、三菱商事、シーテックらのコンソーシアムが落札。出力1.26万kWのGE製の風車を38基設置する定格出力478.8MWの発電所で、運転開始は2028年12月を予定している。入札で決まったFIT価格は13.26円/kWhだった。

 「秋田県由利本荘市沖」は、三菱商事エナジーソリューションズ、三菱商事、ウェンティ・ジャパン、シーテックによるコンソーシアムが落札した。同じくGE製の1.26万kWの風車を機を65基設置し、定格出力は819MW、2030年12月の運転開始を予定する。FIT価格は11.99円。

 「千葉県銚子市沖」は、三菱商事エナジーソリューションズ、三菱商事、シーテックによるコンソーシアムが落札。FITによる買取価格は16.49円/kWh。GE製の1.26万kWの風車を31基設置する定格出力390.6MWの発電所で、2028年9月の運転開始を予定している。FIT価格は16.49円/kWh。

 これまで、港湾法に基づいて導入が進められている着床式洋上風力発電は、FITによる電力の買取価格が一律で36円/kWhが適用されている。一方、新たに再エネ海域利用法に基づいて導入するプロジェクトについては、FIT価格の決定および事業者の選定に入札制度が導入された。

 今回の3海域における入札制度の上限価格は29円/kWhとなっていた。しかし、上述したように最も安い海域では、11.99円/kWhという上限価格の半分以下の価格で落札される結果となった。

 現状、政府のロードマップでは洋上風力発電を2030年までに10GW、2040年までに30〜40GWの導入を掲げている。その際のコスト目標は、2030〜2035年までに8〜9円/kWhとなっている。今回、想定を上回ったといっていい安価な落札結果となったことで、こうした中長期のコスト目標の達成、あるいはその前倒し達成にも期待が生まれる。

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