無くならない太陽光発電所の法令違反、適切な運営に必要な視点とは?法令違反を防ぐ太陽光発電の保安ポイント(1)(2/3 ページ)

» 2022年01月24日 07時00分 公開

法令を順守している発電所の方が少数派という現状

 2021年6月末時点で、産業用低圧発電所は全国で約63万件が稼働中です。高圧以上を含めると約66万件となり、産業用低圧発電所は圧倒的多数になります。よってその50%というと、約30万件が標識や柵・塀が未設置であるなど、見た目でもすぐに判明できる法令順守がなされていない発電所となります。

 さらに掘り下げて保安(O&M)に関する現状をみてみると、さまざまな意見や見解があり適用範囲(%)には幅がありますが、高圧以上は年次点検や定期点検の義務・報告があり法令順守されているようです。

 しかし、保安のレベルを低圧発電所に目を向けると、法令順守し、定期的に点検を実施している発電所は法令順守発電所の半数以下(20%以下という意見もあり)の約15万件だと想定されています。

法令を順守していない低圧太陽光発電の数は多い

 大変残念な現状になりますが、この実情から高圧・特別高圧を含めても、導入件数からの視点では法令を順守している発電所の方が少数派となります。この結果、半世紀以上前から環境問題の取り組み、持続可能な社会やカーボンニュートラルの実現を目指している数多くの優良発電事業者が、風評被害に遭遇する事業リスクが年々増えており、私は大変危機感を感じています。

 このような背景を受け、今年度はさらに経済産業省や資源エネルギー庁などはさまざまな規制・規律強化などの取り組みを実施してきました。私はそのなかで主に着目すべき動向は、3つに整理できると考えています。法令を順守していない発電所にとっては事業リスクが格段に高まっており、この動向により、優良発電所への悪影響や、優良発電事業者の投資意欲の減退にならないか懸念しています。次からは3つの動向について、それぞれを詳しく見ていきます。

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