新条例で太陽光発電所の運用保守にも変化の兆し、今後のO&Mにおけるポイントとは?法令違反を防ぐ太陽光発電の保安ポイント(2)(2/4 ページ)

» 2022年02月24日 07時00分 公開

2.法的な観点から、なぜO&Mが必要なのかわかりやすく説明しよう

 2つ目が、法的な観点からなぜO&Mが必要なのかを分かりやすく説明しようということです。そもそも、O&Mがなぜ必要なのか、それはFIT法と電気事業法の2つの法律において明文化されています。O&Mの必要性をまだ理解していない発電事業者の方に説明する場合、これら2つの法律において、O&Mがどのように位置付けられているのかを解説できることが望ましいと考えます。

 ただ、この2つの法律は目的や内容が違います。ここでは、それぞれの法律について、押さえるべきポイントに絞った内容を簡潔に紹介します。発電事業者への説明にお役立ていただきたいと思います。

電気事業法

電気事業法は「公共の安全」の確保と「環境の保全」がポイントに

 電気事業の第1条には「電気事業の運営を適正かつ合理的ならしむことによって、電気の使用者の利益を保護し、及び電気事業の健全な発達を図るとともに、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする」と明文化されています。

 よって、発電事業者は「公共の安全」の確保と「環境の保全」への確実な実施を義務付けられており、国は安全と保全を確保するための「規制」を行うということが明文化されています。

 O&M会社の視点で考えると、電気事業法は安全と環境に対しての法律であり、その対応を担うことが求められているといえます。

FIT法

FIT法は「安定供給」を前提とした環境負荷低減と地域への貢献がテーマに

 FIT法の第1条には「エネルギー源としての再生可能エネルギー源を利用することが、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保及びエネルギーの供給に係る環境への負荷の低減を図る上で重要となっていることに鑑み、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関し、その価格、期間等について特別の措置を講ずることにより、電気についてエネルギー源としての再生可能エネルギー源の利用を促進し、もって我が国の国際競争力の強化及び我が国産業の振興、地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」と明文化されています。

 よって、発電事業者は、電気を「安定的かつ適切に供給」し、「環境負荷を低減」することが義務付けられており、「地域の活性化」に寄与することが到達点であると言えます。

 O&M会社の視点では、FIT法は安定供給と地域対応についての法律といえ、その対応を求められています。

 整理すると、発電事業者は電気事業法においては安全と環境に対するO&M、FIT法では電気の安定供給、環境負荷低減および地域活性化のさまたげにならないようにO&Mを実施する必要があるといえます。

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