新条例で太陽光発電所の運用保守にも変化の兆し、今後のO&Mにおけるポイントとは?法令違反を防ぐ太陽光発電の保安ポイント(2)(3/4 ページ)

» 2022年02月24日 07時00分 公開

3.エビデンス(書面)を充実させよう

 2021年10月1日、山梨県にて全国初となる新たな条例「山梨県太陽光発電施設の適正な設置及び維持管理に関する条例」が施行されました(既存施設は、2022年1月1日より施行)。私は山梨県が主催する2022年1月のweb説明会に参加し、県側の不退転の覚悟が伝わりつつ、大変厳しい内容の条例であると改めて実感しました。

 同条例の背景には、度重なる地域住民とのトラブルがあります。私は、一(いち)O&M事業者として、力の無さを実感しました。また、この条例を参考に、同様の条例が全国に広まる可能性が高く、特に地域住民とのトラブルが多い地域は導入検討が進むだろうと感じ取られました。

 この条例の特色は、発電事業に関わる種々の書面の作成と提出です。書面によって、発電事業の正しい運営・維持管理の状況を示すことが求められています。以下ではO&Mの視点で、そのポイントをまとめてみました。

O&M会社の視点からみた新条例への対応ポイント

  1. 発電事業者は、2022年6月30日までに、山梨県・県下の各市長に、指定された書式にて「1.既存施設の届出書」「2.維持管理計画書」を作成し、公表および提出する義務を負っています。
  2. 発電事業者は、「3.施設の適切な維持管理計画(点検、雑草対策、事故・災害への対応・復旧と近隣および県への報告、山梨県独自の事業計画標識の設置など)」と点検報告を適切な書式に整えて提出する必要があります。また、発電事業を終了する場合、施設の撤去前に「4.廃止届出書」を提出する義務を負っています。

 私は、この条例を熟読すればするほど、専門知識を持ち、対応できる実務力や体制をもっているプロの発電事業者でないと、山梨県が求めるレベルのエビデンス(書面)作成は困難であり、今まで通りに提出しても受理されない可能性が高いと考えます。

 また、前述の2022年1月のweb説明会で、主催者の自治体担当者から「点検報告書には写真台帳と撮影箇所・位置がわかるように」と発言があり、プロのO&M企業であっても簡単には行えない、高度な管理とその実行体制の構築を求められています。

 よって、この新条例にもとで発電事業者が事業を継続するには、さまざまな事を相談でき、事故および災害対応など発電事業支援が可能な優良なO&M会社との協力・運営体制の構築が必須と思われます。

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