新条例で太陽光発電所の運用保守にも変化の兆し、今後のO&Mにおけるポイントとは?法令違反を防ぐ太陽光発電の保安ポイント(2)(4/4 ページ)

» 2022年02月24日 07時00分 公開
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エビデンスの作成事例を紹介!

 最後に弊社で実際に使用し、お客様に提出している報告書に添付している写真台帳やマッピングのエビデンス事例をご紹介します。事例は、弊社の発電所での点検事例となっています。みなさまの点検報告書のエビデンス作成にお役に立てれば幸いです。

写真台帳のマーカーマップ

番号は写真台帳の番号を示しています。色は青が問題無し、黄色が要注意、赤が異常ありを意味します。

 点検業者より、精密点検時に絶縁不良が見つかった他、サーモカメラ点検などでも異常が報告されたケースです。筆者自身で自主点検をし、過去の事例からはんだ不良が原因と思われるモジュールの断線と、バックシート焦げによる絶縁不良が発生したと想定しました。

 画像内の赤丸(異常有り)NO.6が問題のあるモジュール、No.7は接続箱で、インピーダンス点検による異常を検知しました。また、点検の結果、黄色(要注意を意味)のNo.10〜11はモジュール下に汚れが堆積していることが分かり、今後の維持管理における要注意箇所としました。

写真台帳の作成例

番号はマーカーマップの地点を示しています。写真以外の枠は上から「日時」「GPS情報」「点検結果」「コメント」となっています(GPS情報は非表示としています)

 前回、今回と厳しい内容が続きましたが、次回は2025年の法律制定に向けて注目が集まっている「スマート保安」について解説します。どうぞ楽しみにお待ちください。

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著者プロフィール

増田幹弘(マスダ ミキヒロ)
野原ホールディングス株式会社 経営企画部 再生エネルギープロジェクト室長
太陽光発電評価技術者、緑の安全管理士、「東京都農薬指導管理士」

大阪出身、近畿大学卒業。1999年、私費にて参加したエコに関する研究会にて、電気を庭に取り付けた太陽光発電と自動車の大型バッテリーから、給湯は太陽熱を利用するなどの、今でいうゼロエネルギー住宅(奈良県)を視察し感銘を受ける。自宅をオール電化にし屋根には発電システムを取り付け、自宅エネルギー消費データを2年間記録、上記研究会にて発表。その後も省エネ、省資源についての研究を深め、建材の開発、リサイクルシステム、工場のエネルギー消費削減に大きく貢献。

2009年、野原産業(現 野原ホールディングス)に入社。2013年、事業開発部において八ヶ岳研修所の遊休地活用事業として太陽光発電プロジェクトを主幹。現在は、太陽光発電に関わる新事業として、第三者の視点からの太陽光発電設備の保守・点検(O&M)サービス「SUN SUN GUARD 20」を展開。豊富な知識と多様な事例、経験から、太陽光発電事業者向けセミナーにて講師も務める。


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