トヨタが水素貯蔵モジュールを世界初披露、FCV「ミライ」のタンクを活用蓄電・発電機器

トヨタが樹脂製高圧水素タンクと水素センサー、自動遮断弁などの安全装置をパッケージ化した水素貯蔵モジュールのコンセプトモデルを世界初披露。燃料電池モジュールと組み合わせることで、水素を利用した電力供給システムをさまざまな場所に導入できるというコンセプトだ。

» 2022年03月17日 07時00分 公開
[スマートジャパン]

 トヨタ自動車(トヨタ)は「第18回 国際 FC EXPO(水素・燃料電池展)春 2022」(2022年3月16〜18日、東京ビッグサイト)に出展し、樹脂製高圧水素タンクと水素センサー、自動遮断弁などの安全装置をパッケージ化した水素貯蔵モジュールのコンセプトモデルを世界初披露した。

展示した水素貯蔵モジュール(左)と燃料電池モジュール(右)

 この水素貯蔵モジュールは、トヨタの燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載されている70MPaの高圧水素タンクを活用。さらに水素の残量や使用量を確認できるモニターや、外部の振動や内部の以上を検出した場合、瞬時に水素の供給を停止する安全機構を組み合わせた水素貯蔵システムとなっている。今回はコンセプトモデルとして水素貯蔵量の異なる4つのモデルを披露した。

水素貯蔵モジュールのシステム構成
今回披露した水素貯蔵モジュールのラインアップ

 利用方法は、トヨタが2021年に発表し、すでに一部モデルを販売している燃料電池(FC)モジュールとの組み合わせを想定している。この2つのシステムがあれば、さまざまな場所に水素を利用した電源供給システムを導入できるというコンセプトだ。なお、2021年に発表した燃料電池モジュールは、これまでに40社以上に販売実績があるという。

 ただし、現状の法制度においては、高圧の水素貯蔵モジュールを自由に設置することはできない。一方、FCVであるミライ用に開発した70MPaの樹脂製高圧水素タンクについて、鉄道・船舶・港湾などさまざまな分野の企業から、荷役機器や定置式発電機などでも活用したいといった要望が多く寄せられているという。そこでトヨタからの提案として、今回の水素貯蔵モジュールを開発したとしている。

 トヨタでは今後、政府や関係企業と引き続き連携し、安全を担保した形で水素の利活用を広げられるよう、さまざまな取り組みを進めたいとしている。

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