産業用蓄電システムの最新動向、これからの電力業界の展望を見据えた新製品も続々!蓄電・発電機器(2/3 ページ)

» 2022年03月30日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

SMA/系統に調整力を供給。蓄電池発電所を実現する大容量4MWhシステム

 SMAはG-Techとのコラボレーションにより、需給調整市場を見据えた「蓄電池発電所」のための系統用蓄電システム「4MWh Container BESS」を開発し、パネル展示を行った。同システムは電力系統に直接接続することが可能で、各種電力市場での取引(電力系統内に余剰電力の発生が見込まれる際は充電し、不足する際は放電、あるいは電力系統への調整力を供給するなど)を通じ、再エネの有効活用や電力需給バランスの改善に寄与するものとなる。経済産業省の補助事業「再生可能エネルギー導入加速化に向けた系統用蓄電池等導入支援事業」にも適合する。

SMA/G-Techの蓄電池発電所ソリューション

 蓄電ユニットともに同システムの根幹を担っているのが、大規模ストレージシステム対応双方向パワーコンディショナー「SUNNY CENTRAL STORAGE1900/2475」だ。系統の安定性を確保するために必要となる大容量の再エネ統合に対応する。太陽光発電の変動を補正するよう設計されており、自動周波数制御といった包括的系統管理ソリューションを提供。通常の負荷において−25℃から+50℃までの温度範囲で連続運電できるように最適化されているので、厳しい環境下でも屋外設置が可能だ。

タオケイエナジー/10ftコンテナにオールインワン。VPPにも無償対応

 タオケイエナジーは、蓄電池・EMS・双方向パワコンなどを10フィートコンテナにパッケージした産業用蓄電システム「TK-ES-B430」の現物を出展した。蓄電容量は430kWh。10フィートコンテナタイプには、他に215kWhがある。複数のコンテナの組み合わせも可能だ。

タオケイエナジーの産業用蓄電システム

 DCリンク設計を採用して蓄電池の利用率を上げるとともに、高速な負荷追従制御により逆潮流の発生を防止。太陽光発電システムへの併設に最適化が図られているという。また、蓄電池遠隔監視システム「SmartOM」を標準搭載し、リモート管理の見える化を実現。VPP(バーチャルパワープラント)と接続する場合には、ソフトウェアのアップグレード(拡張機能)を無償で受けることができる。

 11.9MWhの系統用蓄電システムの模型も展示した。電圧調整機能を持ち、送電網の電圧の変動を防ぐために無効電力の総受電を実施する。広範囲に及ぶ停電が発生した場合には、ブラックスタートにも対応。外部電源からの電気を受電することなく、停電解消のための発電を行うことができる。平常時においては時々刻々と変化する周波数を調整し、電源脱落などの異常時には周波数低下を抑制するなど、充放電を素早く切り替えることで電力の安定供給に貢献。需給調整市場での取引を想定した先進の機能が搭載されている。

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