産業用蓄電システムの最新動向、これからの電力業界の展望を見据えた新製品も続々!蓄電・発電機器(1/3 ページ)

産業用の蓄電池市場に新たな動きが出始めている。自家消費やBCP対策としてはもちろん、VPPや蓄電池発電所など、これまでなかったニーズも顕在化してきている。「スマートエネルギーWeek2022 春展」より、注目のソリューションをピックアップ。

» 2022年03月30日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]

 エネルギーに関する国内最大規模の総合展「スマートエネルギーWeek 2022 春展」が3月16日〜18日、東京ビッグサイトで開催された。カーボンニュートラルに向けた動きが加速し、再生可能エネルギーのより効率的な利活用が求められるなか、その要となる蓄電池にも多くの出展があり、来場者の注目を集めていた。ここでは、いよいよ本格的な普及の兆しが見えてきた産業用蓄電システムについて、出展企業7社のブースをピックアップする。

ファーウェイ/分散型コンセプトを採用した産業用蓄電ソリューション

 2020年に住宅用蓄電システムを発表し、蓄電池市場でも急速に存在感を高めているファーウェイは、中型・大型それぞれの産業用蓄電システムを公開した。蓄電容量2MWhの大型産業用蓄電システム「LUNA2000-2.0MWH-1H0/2H0」と、同200kWhの中型産業用蓄電システム「LUNA2000-200KWH-2H0(暫定名)」だ。

ファーウェイの産業用蓄電システム

 まずは、大型産業用蓄電システムの受注を3月30日より開始する。同システムは、幅6m×高さ2.9m×奥行2.4mのコンテナ式でありながら、同社のパワーコンディショナー同様に分散型のコンセプトが取り入れられている。蓄電池を構成するセルごとに電池管理システム(BMS)が搭載されており、セル単位での独立制御が可能だ。これにより、セル間のバラつきを抑え、それぞれのセルを100%まで充電することができるという。また、1つのセルが故障してもモジュール交換で簡単に復旧でき、全体に悪影響を及ぼすことがない。

 さらに、パワーエレクトロニクスを活用した制御技術などにより、ライフサイクル充放電量の向上を実現。クラウドBMSで内部短絡をスマート検知し、火災リスクを大幅に軽減するなど、安全性にも優れているという。

サングロウ/独自の空調システムによりバッテリーの長寿命化を実現

 サングロウは、2020年に販売を開始した産業用蓄電システム「ST159KWH-50HV」を出展した。工場やスーパー、道の駅などに導入実績のある製品で、蓄電容量は159kWh。太陽光発電の自家消費、BCP・災害対策、ピークカット・ピークシフト、デマンドコントロールを利用した電気料金削減などの用途に使われているという。

サングロウの産業用蓄電システム

 上部に設置された空調システムとセルレベルの温度制御により、バッテリーの長寿命化を実現。防塵防水保護等級IP45をクリアし、過酷な屋外環境にも対応する。並列設置が可能なのでシステムの拡張も容易だ。高速遮断やアーク対策などにより電気回路の安全性を確保するとともに、迅速な状態監視により事前アラームや故障箇所の特定も可能となっている。

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