再エネ普及の課題「地域との共生」、必ず知っておきたい関連法令と今後の展望法制度・規制(1/4 ページ)

再生可能エネルギー電源の導入拡大に向けて、現在大きな課題となっている「地域社会との共生」。適切な導入や管理手法の確立に向けて、政府は「再エネ発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」を立ち上げた。今回はその第1回の内容を紹介する。

» 2022年05月02日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2050年カーボンニュートラル実現に向けて再エネ電源を大量に導入するにあたっては、地域住民からの信頼を獲得することや地域社会と共生した事業であることが大前提となる。

 しかしながら再エネの導入拡大に伴い、地域住民とのコミュニケーション不足や森林伐採や土地開発等に伴う災害や環境への影響、将来的な再エネ設備の廃棄などへの懸念が指摘されている。

 従来から再エネ事業の実施にあたっては、電気事業法や環境アセス法、再エネ特措法、森林法、農地法、宅地造成等規制法等、多種多様な法令を順守することが求められてきたが、再エネ設備の適正な導入および管理に向けたさらなる施策を検討するため、新たに「再エネ発電設備の適正な導入及び管理のあり方に関する検討会」が設置された。

 検討会の論点は大きく3つの段階、(1)土地開発前段階、(2)土地開発後〜運転開始後段階、(3)廃止・廃棄段階、に分けて整理されている。

図1.再エネ事業の3つの段階 出所:資源エネルギー庁

(1)土地開発前段階

 再エネ電源を設置するにあたり土地の造成が必要となる場合には、事業者は主に、森林法、宅地造成等規制法、砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)の順守が求められる。

森林法に基づく開発許可

 森林法では保安林制度や林地開発許可制度が定められており、森林計画の対象となる民有林(保安林を除く)において1ha超の開発(盛土・切土等)を行う際には、事前に都道府県知事の許可を得る必要がある。

表1.再エネ事業の3つの段階 出所:資源エネルギー庁

 FIT制度開始以降、太陽光発電施設の設置を目的とした林地の開発行為が急増しており、2013〜2020年度までの累計は、件数で約1万3000件、面積で約1万9000haに上る。

 林地開発には「災害の防止」「水害の防止」「水の確保」「環境の保全」の4つの許可要件を満たす必要があるが、太陽光発電の場合、パネルで地表の大部分が被覆されるため雨水が地中に浸透しにくいことや、パネルの遮光によりその下の地表が長期にわたり裸地や草地のままとなるという特殊性があると考えられている。

 このため、林野庁は2019年に「太陽光発電施設の設置に関する林地開発許可基準の運用細則」を定め、平均傾斜度が30度以上である場合に排水施設等の防災施設を設置することや、住民説明会の実施を配慮事項とすることなどを求めている。

 小規模林地開発においても災害が発生していることなどを踏まえ、林野庁では現在、太陽光許可基準の見直しを進めており、規制規模を現行の1ha超から一定程度引き下げることや、排水施設や洪水調整池の設計基準を強化する方向で検討が進められている。

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