再エネ普及の課題「地域との共生」、必ず知っておきたい関連法令と今後の展望法制度・規制(2/4 ページ)

» 2022年05月02日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

宅地造成等規制法(盛土規制法)に基づく開発許可

 再エネ電源の設置を目的として、宅地造成工事規制区域内で一定規模以上の盛土・切土を伴う土地造成を行うには、これまでも宅地造成等規制法に基づき、都道府県等の許認可を得る必要があった。

 しかしながら静岡県熱海市の盛土崩落事故を踏まえ、現在全国で3万6000カ所の盛土の点検が進められているところである。

 国土交通省では、盛土等による災害から国民の生命・財産を守るため、「宅地造成等規制法」を法律名や目的も含めて抜本的に改正し、土地の用途(宅地、森林、農地等)を問わず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制することとした。

 新しい法律名は「宅地造成及び特定盛土等規制法」(盛土規制法)に改正される。改正法では、土地所有者等が常時安全な状態に維持する責務を有することを明確化し、災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても是正措置等が命令される。

 また砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)では、砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊区域で切土・盛土等の開発行為を行う際には、都道府県知事による許可が必要となる。

環境影響評価(アセス)法による環境の保全

 太陽光発電については現在、4万kW以上を第一種事業、3万kW以上4万kW未満を第二種事業と定め、法アセスの対象とされている。

 また風力発電については2021年の政令改正により、表1のように規模要件が変更されたが、法でも条例でもカバーされない空白帯が生じることから、条例が整うまでの間、円滑な制度移行のための経過措置が設けられた。

表1.風力発電 環境アセス規模要件 出所:環境省
図3.風力発電 規模要件変更移行期間 出所:環境省

再エネ特措法による住民との適切なコミュニケーション

 FIT・FIP制度の再エネ特措法では、事業計画策定ガイドラインにおいて、事業計画作成の初期段階から地域住民と適切なコミュニケーションを図るとともに、地域住民に十分配慮して事業を実施するように「努める」ことが求められている。

 現実には法令順守できていない設備や地域トラブルを抱えている設備が存在し、資源エネルギー庁webサイト「再エネ事業の不適切案件に関する情報提供フォーム」に限っても、2016年10月〜2022年2月末で850件の相談が寄せられている。

改正地球温暖化対策推進法による協議会

 改正地球温暖化対策推進法では、市町村が地方公共団体実行計画を策定するにあたり、協議会を活用することが推奨されている。

 協議会は、関係する行政機関、地方公共団体、地域脱炭素化促進事業を行おうとする事業者、住民等により構成され、合意形成の重要なプロセスと位置づけられている。

 協議会では再エネ「促進区域」の選定や、市町村として事業者に求める地域環境保全や地域貢献の取り組み等が議論される。

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