FIT開始後に導入が急拡大した太陽光発電であるが、使用済太陽光パネルの排出は2035〜2037年頃にピークを迎えると推計されている。
ピークとなる2036年の年間排出量は17〜28万トンと予測され、これは産業廃棄物の最終処分量の1.7〜2.7%に相当する量である。
現在も、不良品や災害等による故障品の太陽光パネルが少量排出されているが、回収量約31万枚(6308トン)のうち、約68%がリユースされ、約32%がリサイクルされている。
環境省は、「太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン」や「太陽電池モジュールの適切なリユース促進ガイドライン」を策定・公表し、資源循環の考え方に沿った適正な処理を推進している。
太陽光発電設備の廃棄処理の責任は、通常の廃棄物と同じく廃掃法に基づき、使用済太陽光パネルの排出者、つまり発電事業者にある。
FITの調達価格には使用済パネルの廃棄処理費用も含まれているため、FIT発電事業者は内部で積み立てた収益を元に、廃掃法に基づきパネルを適正に処分することが求められる。
しかしながら、小規模事業者の多くが将来の廃棄に備えた費用を積み立てていないことが明らかとなったため、2020年の再エネ特措法改正により、源泉徴収的な外部積立て制度を設けることとされた。これにより2022年7月から、最も早い事業の積立てが開始される。
再エネ電源(特に太陽光発電)の急増が地域社会との摩擦を生じさせるケースが増加するにつれ、自然環境や景観の保全を目的として、再エネ発電設備の設置に抑制的な条例(再エネ条例)の制定が増加している。
2021年度には184件に達し、全国の自治体の約1割が、再エネ条例を制定している状況である。
再エネ特措法は2017年の改正により、条例を含む関係法令順守を認定基準としており、条例への違反に対して、再エネ特措法に基づく指導や認定取り消し等が可能となっている。
FIT・FIP案件の場合、認定取り消しを後ろ盾とした執行力の強化が可能であるが、今後の導入拡大が見込まれる非FIT・非FIP案件に対する事業規律の維持・強化が課題とされる。
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