激動の市場変化を受けLooopが新方針、家庭向け電気料金は最大19.7%の値上げに電力供給サービス(2/2 ページ)

» 2022年05月10日 07時00分 公開
[廣町公則スマートジャパン]
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電気料金プランを値上げへ

 上記の現状認識のもと、Looopが打ち出してきたのが前述の事業方針だ。そして、「市場の再定義とサービス再設計」と称して、電気料金の改定(値上げ)が盛り込まれた。Looopが新電力として販売する「Looopでんき」の「おうちプラン」「ビジネスブラン」について、2022年6月1日より値上げを実施する。このうち、主力商品である「おうちプラン」についてみると、東京電力管内で9.1%の引き上げ。値上げ率のもっとも大きい北陸電力管内では、19.7%という大幅な値上げとなっている。

家庭向けの「おうちプラン」と法人向けの「ビジネスプラン」の値上げ幅 出典:Looop

 値上げの理由について中村氏は、「収益性をしっかり確保できるような状態にして、その収益を再エネに投資するための値上げ」であるとして、「再エネ事業への再投資」を強調する。顧客に対しては、「輸入燃料に左右されずに価格を維持していくために再エネに投資をしていかなければならないと考えており、そういった考えに賛同していただけるよう説明したい」という。「つまり、外部からの要因によって価格の上げ幅を決めるのではなく、自分たちでコントロールできる状態をつくっていくための値上げなのです」(中村氏)

 ただし、多くの新電力が減収減益に苦しむ状況にあって、Looopは2021年度も増収増益を続けている。これはLooopの電源調達の多くが相対取引で行われており、卸電力市場の価格高騰による影響が小さかったことによる。それにも関わらず、事業方針の変更に伴う値上げを既存顧客に課すことについては、さらに丁寧な説明が求められるところだろう。

 また、値上げ率も地域によって大きく異なる(5.6〜19.7%)。その理由については、Looop取締役 電力事業・技術開発管掌の小嶋祐輔氏が述べている。「戦略的に設定しているという面もあります。比較的値上げ幅が大きいのは西日本、北陸、四国あたりですが、このエリアは競争環境が厳しいところです。そういったところでは、われわれの事業の安定化のために値上げ幅を高くしています」(小嶋氏)

 北陸や西日本は価格競争が厳しく、価格優位性を示すことが難しいので、敢えて価格勝負はせず、割り切った設定にしているということだ。今回の値上げが、顧客にどう評価されることになるのか注目される。

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