FIT終了後の中小規模太陽光をどうすべきか――政府が長期稼働に向けた施策を検討太陽光(1/3 ページ)

日本の主力電源として期待される太陽光発電。既に導入されている太陽光発電の長期稼働を支える施策として、政府では小規模な発電設備を集約(アグリゲーション)する方法を検討中だ。

» 2022年07月25日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 2050年カーボンニュートラルに向けて太陽光発電は主力電源の一つとして位置付けられており、例えば太陽光発電協会の「PV OUTLOOK 2050」では2050年に300GW(3億kW)の導入目標が掲げられている。

 この実現のためには新規案件の開発だけでなく、既設電源を維持・長期稼働させていくことも重要である。

 一般的に太陽光パネルの寿命は30年程度と言われていることから、長期的に発電を継続するためには、適切なタイミングで追加投資や再投資を実施することが必要となる。また再投資を行うことにより、当初の古い太陽光パネル等が放置されず、適切に廃棄する(リサイクル等)ことにつながる面もある。

図1.太陽光発電「事業」のライフサイクル 出所:太陽光発電協会

 資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」では、既設電源の長期電源化の課題と今後の取り組みの方向性として、小規模な太陽光発電を集約(アグリゲーション)していく案が示されている。

規模別に見た国内の太陽光発電の導入状況

 日本国内の事業用太陽光発電の導入量は、2021年9月末時点で67万件、設備容量ベースでは5,010万kWとなっている。このうち10〜50kWの小規模案件が件数ベースでは約95%、容量ベースでは約34%と、非常に大きな比率を占めていることが日本の特徴である(※ドイツでは、10〜40kWの小規模案件は容量ベースで0.1%、40〜500kWは9.8%を占めるに過ぎない)。

 もしこれらの小規模案件がFIT調達期間20年満了と同時に発電を停止するならば、17GWもの太陽光設備容量が失われることになる。

図2.事業用太陽光発電の規模内訳(2021年9月末時点) 出所:再エネ大量導入小委

 また一般的に、小規模案件のオーナー(事業者)も小規模事業者であることが多く、太陽光発電の規模別認定事業者の個人/法人比率を見ると、小規模案件は個人が事業実施主体となっているケースが多いことが分かる。

図3.太陽光発電認定事業者 個人/法人比率 出所:再エネ大量導入小委

 このため、個人を含む小規模案件事業者に対して、長期電源化に向けた追加投資・再投資をどのようにして促していくかが課題とされている。

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