2023年度に始まる「長期脱炭素電源オークション」、初回募集は400万kWにエネルギー管理(2/4 ページ)

» 2022年12月08日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

既設火力・蓄電池の募集上限は?

 化石火力既設電源に対するアンモニア・水素の混焼化やバイオマス専焼化といった改修案件は、脱炭素化という目的には資するものであるが、短期的な供給力の増加には寄与しないものである。

 このため電源新設による供給力の純増を図る観点から、初回オークションにおける改修案件の募集上限は全体の1/4、100万kW(応札容量ベース)とされた。

 なお第6次エネルギー基本計画では、2030年度の電源構成において、水素・アンモニアで1%程度(93.4億kWh程度)を賄うことを想定している。この電力量を得るためには水素・アンモニアの設備容量が152万kW程度必要となる(設備利用率70%の場合)。

図3.既設火力改修・蓄電池の募集上限 出所:制度検討作業部会

 また蓄電池や揚水発電は、供給力としての価値が限定的であるため、初回オークションにおける募集上限は全体の1/4、100万kW(応札容量ベース)とされた。

 蓄電池と揚水の最低入札容量は、いずれも1万kW(送電端設備容量ベース、発電可能時間3時間以上)であり、両者は同じ蓄電技術として競い合うこととなる。

 ただし、落札電源の総容量がオークション募集量400万kWに達しない場合は例外的に、既設火力の改修案件や蓄電池・揚水は、上限100万kWを超えて落札することを許容する。

LNG専焼火力の緊急募集量

 本来、脱炭素電源への投資を促す「長期脱炭素電源オークション」制度であるが、足元での需給逼迫を緩和するため、緊急的措置として3年間という一定期間内に限り、新設・リプレースのLNG専焼火力を対象とした募集量が脱炭素電源とは別枠で設けられている。

 脱炭素化と安定供給確保のバランスを踏まえ、初回オークションから3年間で合計600万kW が募集されることとなった。

 なお、脱炭素燃料混焼LNG火力の新設案件(例:水素10%混焼)や既設LNGの改修案件(例:水素10%混焼)等は、通常の脱炭素電源としての募集となる。また、緊急LNG専焼火力についても、2050年までに脱炭素化することがリクワイアメントとされる。

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