FIT・FIP太陽光に「屋根設置」区分を新設、価格はこれまでを上回る見通しに(1/4 ページ)

太陽光発電の適用される調達価格・基準価格について、2024年度から「屋根設置」の区分が設けられる方針だ。また、低圧事業用太陽光についても一定の条件を満たせばFIPの対象として認められることになりそうだ。

» 2023年01月10日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 資源エネルギー庁の調達価格等算定委員会において、太陽光発電のFIT調達価格/FIP基準価格の設定に向けた具体的な議論が開始された。

 太陽光発電では2030年度末に104〜118GWの導入が目標とされているが、適地の減少等に伴い、認定設備容量は近年、縮小傾向にある。この内訳としては大規模案件や低圧案件の減少が顕著である。

図1.太陽光発電の規模別認定量の推移 出所:調達価格等算定委員会

 事業規律の確保を前提に、地域と共生した再エネの導入加速化が求められる中、その適地として注目されているのが建物の「屋根」である。

 このため2021年度の本委員会では、屋根設置太陽光の導入拡大に向けて、既築建物への屋根設置太陽光ではFIT・FIP入札を免除することや、集合住宅の屋根設置太陽光では自家消費要件の緩和などが措置されてきた。

 今回、本委員会の第82回会合では屋根設置案件のさらなる導入加速に向けて、新たに「屋根設置」区分を設け、屋根設置向けの調達価格・基準価格を設定することなどが示されている。

事業用太陽光発電における資本費の動向

 昨年度の本委員会では、FIP制度(入札方式)のみが認められる対象規模を、2024年度には「250kW以上」とする方向性が示されていたが、今回、これが確定された。よって、250kW未満の案件については本委員会で調達価格・基準価格を設定する必要がある。

 今回、事業用太陽光では新たに「屋根設置」区分を設けることとなったため、設置形態別にコスト動向を示したものが図2(左:地上設置、右:屋根設置)である。

図2.設置年別 資本費内訳(10kW以上、左:地上設置、右:屋根設置)(万円/kW) 出所:調達価格等算定委員会

 資本費総額(万円/kW)では、地上設置と屋根設置で大きな差は無いものの、屋根設置ではパネル費用が高く(2022年:11.9万円)、工事費が上昇傾向(2022年:8.0万円)にあることが分かる。

 このため新たな屋根設置区分では、調達価格・基準価格が従来の「地上/屋根統合区分」よりも上昇する可能性もある。

 なお現在、低圧事業用太陽光(10-50kW)については、自家消費型の地域活用要件を求めていることから、屋根設置の導入が主流になると想定されている。

 調達価格等の違いにより事業者が恣意的に設備容量を変えることを防ぐため、屋根設置については「10-50kW未満」と「50kW以上」で区別せず、「10kW以上」で一律に調達価格・基準価格の想定値を設定することとした。

 これにより、太陽光発電設備を設置可能な屋根面積が、最大限活用されることが期待される。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.