FIT・FIP太陽光に「屋根設置」区分を新設、価格はこれまでを上回る見通しに(2/4 ページ)

» 2023年01月10日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

事業用太陽光の設備利用率

 事業用太陽光では、以前から過積載率の上昇が続いているが、2022年設置案件では10-50kWの過積載率は185%、それ以上の出力規模では140%前後に達している(過積載案件の平均)。

 過積載やパネル変換効率の向上等により、事業用太陽光発電の設備利用率も上昇しており、設置形態別・規模別の平均値は表1のとおりである(買取期間2021年6月〜2022年5月)。

表1.事業用太陽光 設備利用率平均値 出所:調達価格等算定委員会

 調達価格等算定委員会において調達価格・基準価格の設定にあたっては、トップランナー水準(概ね、3年後の中央値と想定される水準)を確認している。最新の2022年設置案件では、地上設置では上位15%水準、屋根設置では上位26%水準がトップランナーに該当することが報告されている。

 よって表2の実績から、地上設置(10kW以上)では21.3%、地上設置(50kW以上)では18.3%、屋根設置では14.5%が、設備利用率の想定値として設定される。

表2.トップランナー水準の設備利用率 出所:調達価格等算定委員会

2024年度事業用太陽光 調達価格・基準価格想定値

 屋根設置の事業用太陽光発電の調達価格・基準価格の設定にあたっては、自家消費分の便益を考慮することが必要となる。

 直近の2021年度設置案件では自家消費比率は24%程度であるが、さらなる自家消費を促す観点から、自家消費率を30%と想定して、自家消費便益を計上することとした。

 また自家消費便益の単価については、大手電力の直近10年間の産業用電気料金単価の平均値(消費税込み)の18.59円/kWhと設定する。

 なお地上設置案件は25年間の運転年数が想定されるのに対して、屋根設置については外壁や屋根の塗り替え等も想定されることから、20年間の運転を想定し、調達期間終了後の売電収入は見込まないものと想定する。

 以上を踏まえた、2024年度の調達価格・基準価格における想定値は表3のとおりである。

表3.2024年度の調達価格・基準価格における想定値 出所:調達価格等算定委員会

 なお、託送料金の発電側課金制度が2024年度に開始されるが、新規FIT/FIP案件についてはこれを調達価格等の算定において考慮する必要がある。この具体的な設定方法については、今後の本委員会で検討される予定である。

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