現行制度において蓄電池の事後的な設置は、最新の調達価格・基準価格への変更事由となっている。これは過積載分の売電による国民負担増加の懸念が理由とされている。
しかしながら、蓄電池により売電タイミングをシフトすることは再エネの市場統合にも有効であることから、FIP基準価格変更ルールを見直すこととした。
具体的には、太陽電池の出力がPCSの出力を上回っている場合は、発電設備の出力(PCS出力と過積載部分の太陽電池出力)とFIP基準価格(蓄電池設置前の調達価格・基準価格と蓄電池設置年度における該当区分の基準価格)の加重平均値に変更する。
これまで国内太陽光発電のコストは急速に低減してきたものの、足元では鈍化の傾向がみられる。また諸外国と比較すれば、今も一定の価格差が存在する。
太陽光発電に関する価格目標は2018年に改定されており、現行の目標は以下のとおりである。
発電コスト7円/kWhは、調達価格等に換算すると8円/kWh程度となる。なお定期報告データによれば、国内でも一部のトップランナー事業者はすでに7円/kWhを達成していることが報告されている。
調達価格等算定委員会では、コスト低減ペースの鈍化と諸外国との価格差の双方を考慮のうえ、太陽光発電の価格目標と目標年を見直すこととした。新たな価格目標は以下のとおりである。
一般的に、調達区分を細分化することは競争圧力を弱めることとなり、コスト低減が鈍化するおそれもある。「屋根設置」区分や「次世代型太陽電池」区分の新設が、中長期的に見ても社会的費用の抑制につながるものであるか、不断の検証が求められる。
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