販売・賃貸も表示対象に、建築物の新たな「省エネ性能表示制度」のポイント2024年4月にスタート(2/4 ページ)

» 2023年03月27日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

現行の建築物省エネルギー性能表示制度とその課題

 建築物における優れた省エネ性能を表示するため、現行の告示・ガイドラインに基づき、BELS(ベルス:Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)が運用されている。BELSの認定件数は、2021年度末時点で累計217,607件に上る。

 現行の告示では、建築物の省エネ性能に関する情報を正確かつ多角的に表示する観点から、全10項目の事項を表示することを順守事項としている(ただし表示スペースがない場合は、②評価年月日、③第三者認証・自己評価の別、⑤設計一次エネルギー消費量の削減率、の3つ以外は省略可能)。

図2.現行告示とBELSラベルの例 出所:建築物省エネ性能表示制度検討会

 このため、一部の情報には重複があることや、情報過多となることが課題とされてきた。例えば、一次エネルギー消費量についての「〜%削減」、「緑色→赤色のバー」、「星の数」は、いずれも一次エネルギー消費量の削減度合いを示すものとなっている。

 検討会では、消費者等の分かりやすさ、販売・賃貸事業者による取り組みやすさの観点から、ラベル上での情報提供は必須事項に絞り込むこととした。

住宅の一次エネルギー消費量の多段階表示

 現行の表示制度において、住宅の一次エネルギー消費量については、BEI (ビルディング・エネルギー・インデックス)という指標を用いてその水準を表現している。BEI=1.0の場合を「0%削減」、BEI=0.8の場合を「20%削減」と表している。

 戸建住宅を例に取ると、検討会では一次エネルギー消費量について、図3のように多段階評価するラベルの案を示している。

図3.戸建住宅のラベルイメージ 出所:建築物省エネ性能表示制度検討会

 左図は、太陽光発電等の再エネ設備が設置されていない場合である。全体で4段階評価として、BEI=1.0(省エネ基準から0%削減)を星1つとする。また、ZEH水準(省エネ基準から20%削減)を上回る省エネ性能向上へのインセンティブを与えるため、BEI=0.7(30%削減)を4つ星とする。

 右図は再エネ設備が設置されている場合であり、太陽光発電等による「創エネ」により、一次エネルギー50%削減までを表現するため、6段階評価とされている。この場合、省エネの効果と創エネによる効果を区別できるようなデザインとする。

 なお非住宅建築物については、再エネ設備あり/無しのいずれの場合も、6段階評価として、省エネ基準から0〜50%削減までを星の数で段階的に表示する。

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