そもそも「営農型太陽光発電」とは何なのか? 改めてその定義と意義を考えるソーラーシェアリング入門(61)(1/2 ページ)

ソーラーシェアリングについて解説する本連載。今回は昨今、不適切な事例の規制に向けた議論が行われている「営農型太陽光発電」について、その定義や意義、そしてソーラーシェアリングとの違いなどを改めて整理します。

» 2023年06月12日 07時00分 公開

 前回は、営農型太陽光発電を巡る国内の規制議論について取り上げました。この規制議論では「不適切な事例の是正・撤去や発生防止」といったことが中心にありますが、そもそも営農型太陽光発電事業の“良し悪し”をどういった基準で判断すべきなのでしょうか。

 この部分を明確にするためには、そもそも営農型太陽光発電とは何なのか、何のための取り組みなのか――といった点から整理していく必要があると考えます。そこで今回は、そもそも営農型太陽光発電およびその定義とはどのようなものなのかを、ソーラーシェアリングとの違いも含め、改めて整理してみたいと思います。

営農型太陽光発電の定義

 営農型太陽光発電は農林水産省によって定義が示されており、これによれば「農地に支柱を立てて、営農を適切に継続しながら上部空間に太陽光発電設備を設置することにより、農業と発電を両立する仕組み」であり「作物の販売収入に加え、売電による継続的な収入や発電電力の自家利用等による農業経営の更なる改善が期待できる取組手法」とされています。

 加えて、営農型太陽光発電設備の設置に必要な一時転用許可を受ける際には「下部の農地での営農の適切な継続が確実か」としており、「営農が行われてること」「生産された農産物の品質に著しい劣化が生じていないこと」「下部の農地の活用状況が次の基準(※)を満たしていること」の3点が条件になっています。

※同年の地域の平均的な単収と比較しておおむね2割以上減収しないこと。荒廃農地を再生利用した場合には適正かつ効率的に利用されていること(農地の遊休地化、捨作りをしない)

農林水産省 農村振興局 「営農型太陽光発電設備について」

 さらに国会における政府答弁を見ていくと、2020年1月の衆議院本会議で安倍総理(当時)が「営農型太陽光発電は、農業生産と再生可能エネルギーの導入を両立することにより、荒廃農地の解消のみならず、農村地域の所得の向上や地域社会の持続的な発展に資する有用な取組である」と述べています。また2023年1月の参議院本会議では岸田総理が「営農型太陽光発電については、営農と発電の両立による優良農地の確保が前提」と答弁しています。こうした答弁からも、営農型太陽光発電とは「農業生産と再生可能エネルギー発電の両立」が第一であり、その事業によって農業・農村の振興を図るものだと言えます。 

 ちなみに、営農型太陽光発電の公式な英語表記は「FarmingPV(FPV)」となっており、こちらも農作物を育てていく、農業生産を行っていくことに重きを置いていることが分かります。

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