当初の発電事業者が不要と判断した太陽光パネルを、別の事業者が「リユース」するならば、パネルの長期利用につながり、パネル廃棄量を抑制することが可能となる。しかしながら、REASPアンケートによれば、パネル処理時点でリユース売却を活用する事業者は、現時点、1割程度とわずかであることが明らかとなった。
この理由としては、パネルの継続利用が可能か否か、目視では判断が困難な場合、二次被害を避ける観点から、リユースせずに廃棄すると判断されているためである。よって、環境省ガイドライン等の改定により、より明確な判断基準が示されるならば、リユース品が増加すると期待される。
また、リユース品を使用する観点では、発電事業者による要求品質が過度に高いことも課題として指摘されており、要求品質の明確化や、融資を行う金融機関による理解醸成が必要とされる。
また現在、新設FIT/FIP案件ではリユース品の利用が認められていないが、これを容認することにより、リユース市場の拡大が期待される。
さらにREASPでは、リユース品のスムーズな利用やパネル在庫費用負担の抑制を目的として、図4のような発電事業者による共同在庫の仕組みを検討している。
近年、太陽電池モジュールの高出力化、大型化競争が激化しており、顧客(太陽光発電所)側では、それぞれのモジュールサイズに合わせたシステム設計や架台等の施工が必要となる。
このため、顧客の利便性を高める観点から、LONGi等の大手メーカーは、2021年以降、モジュールサイズ(外形寸法)や取付穴間隔の一部を標準化することとした。これにより、発電所では、様々なメーカー製パネルのリユース品を使用することが容易となった。
太陽光発電所の長期運転やパネルの長期利用の観点からは、太陽光発電所を放置・放棄させず、優良な事業者に移転させること、セカンダリー購入の促進は重要である。
放置案件の大半は小規模な発電所であると考えられるが、現時点、セカンダリー購入の多くは中規模(500kW)以上の発電所が対象とされている。小規模発電所では、立地・設備状態や権利関係などのデューデリジェンス費用負担が相対的に大きいため、セカンダリー購入の障壁が大きいとされる。
このため、放置案件の抽出や所有者への意向確認、簡易的なデューデリジェンスを行政機関が行うなど、セカンダリー購入に対する支援策が要望されている。またすでに放置されている案件に対しては、現行の不動産競売手続を参考として、発電所売買を促進する環境の整備を、REASPでは提案している。
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