FIT開始以降、国内に導入が進んだ太陽光発電。将来増加する使用済み太陽光パネルなどの適切なリユース・リサイクルが課題とされており、資源エネルギー庁と環境省では制度設計に向けた検討を進めている。第4回の検討会で示された課題や、今後の方針などをまとめた。
FIT制度開始以降、太陽光発電等の再エネ発電設備が大量に導入されたが、FIT調達期間が満了する2030年代以降、次第に発電設備の廃棄が増加すると想定されている。
このため、資源エネルギー庁と環境省は共同で「再生可能エネルギー発電設備の廃棄・リサイクルのあり方に関する検討会」を設置し、適切なリユース・リサイクル、廃棄等に関する検討を行うため、事業者や業界団体等からヒアリングを進めている。
いわゆる「3R」の優先順位の考え方のとおり、太陽光発電パネルにおいても、廃棄やリサイクルの前に、長期利用による「リデュース(発生抑制)」や「リユース」を推進することは重要である。
太陽光パネル大手メーカーのLONGi社によれば、最新のパネルの劣化率は-0.4%/年、25年目の出力保証値は88.9%とされている。
再生可能エネルギー長期安定電源推進協会(略称:REASP)によるアンケート調査の結果、同会員の太陽光発電事業者の大半は、条件次第ではFIT期間終了後も発電(運転)を継続する、と回答している。また、運転継続期間を25年以上と想定する事業者は、8割程度を占めている。
NEDOでは、2035〜2037年頃に太陽光パネル廃棄のピークを迎えると推計しているが、REASPではアンケート結果を踏まえ、1.発電用地の借地期間を要因とするFIT終了時と、2.設備の経済耐用年数経過時、の2つにピークが分散すると想定している(図2の実線と破線はNEDO推計値、赤い塗りつぶしはREASPによる想定)。
太陽光発電事業者による運転継続の判断は、主に経済性、つまり収入と費用のバランスによって判断されることとなる。
REASP会員アンケートの回答では、FIT期間終了後の売電先の確保が第一の課題とされており、これには適正な売電単価も含まれると想定される。また近年、九州エリアを中心に再エネの出力制御が増加しており、十分な売電機会が確保されることも条件となる。
もう一つの大きな課題は、発電用地の賃借期間である。通常の賃借期間は20年であるところ、REASPでは、この期間延長に対する政策的支援があれば、運転継続に効果的であると考えている。
これらの条件が整う場合、発電事業者は太陽光パネルをなるべく長期間利用することとなるほか、最終的には劣化したパネルを交換することにより、同一場所で発電事業を長期に継続することが想定される。
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