通常の調整力は、GCまでにΔkWを確保したうえで、上記図1のように「GCから実需給までの予測誤差」等に対応するものである。
これに対して、優先給電ルールに基づく再エネ出力制御は、前日計画段階で需給バランスを策定し、「電源III(火力電源等)」や「バイオマス」の出力制御をしたうえで、なお、下げ代不足時にVREの出力制御を実施するものであり、通常の調整力とは異なる面を持つ。
現在、太陽光発電等のFIT電源の大半は、FIT特例1(小売事業者買取)もしくはFIT特例3(一般送配電事業者買取)を活用している
FIT特例1を使用する小売電気事業者は、一般送配電事業者から通知された値を用いて発電計画を作成するが、太陽光の供給過多(余剰)時には、JEPXスポット市場の最低入札価格である0.01円/kWhで売り入札したとしても、売れ残る可能性がある。
この場合、売れ残り分を控除して発電計画を作成する制度となっており、発電計画上では同時同量が達成されていたとしても、実需給断面では余剰インバランスが発生することとなる。つまり、再エネの出力予測が正確であっても余剰インバランスが発生する仕組みであるため、「GCから実需給までの予測誤差」等に対応する通常の調整力とは異なる性質を持つものである。
また、このときFIP電源は、プロラタ按分で未約定(売れ残り)となった量について、相対契約等で他の売電先を見つけない限り、発電計画に織り込めない(事業者自ら抑制する)こととなる。
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