また広域機関では、GC以降の余剰インバランスに対応するための下げ調整力(下げΔkW)を需給調整市場で調達するスキームについても検討を行った。
ΔkWとはGC時点で出力を調整できる状態を確保することであるため、仮に下げΔkWを確保する場合、調整電源の下げ代や揚水発電所のポンプアップに、余力を残した状態であることが必要となる。
つまり、調整電源であれば最低出力よりも高い発電計画値、揚水であればポンプアップ運転をしない計画であることが条件となり、計画時点における供給余剰は今よりも増えることとなる。結果として、下げΔkWを確保することは、かえって再エネ抑制量の増加に繋がると考えられる。
なお現在も、最低限必要な下げ代は確保しているが、これは時間内変動に対応(GF・LFC)するものであり、再エネ抑制の原因となる余剰インバランス対応(EDC)のものではない。
GC以降の余剰インバランスに対する出力制御(下げ調整kWh)については、現在は需給調整市場では調達しておらず、電源II契約によって実施している。(2024年度以降は容量市場の余力活用契約により実施予定)
なお、現在も発電種別で区別しておらず、必要な調整力機能の有無のみで判断していることから、再エネ(FIT電源を除く)をGC以降の下げ調整力(kWh)および上げ調整力として活用することは、現状でも可能である。
なお、FIT/FIP電源は容量市場に応札できないため、余力活用契約を締結することはできない。ただし、FIP電源は需給調整市場に参加することが可能であるため、この観点でもFIT電源からFIP制度への移行が進むことが期待される。
VREの調整力コストは、ほぼゼロであると想定されるため、VREの需給調整市場への参加は、調整費用の低減に寄与すると同時に、調整リソース増加による供給信頼度の向上にも資すると期待される。
また、卸電力市場へネガティブプライスを導入することは、上げDRによる需要増加や電源の経済差し替えの増加を促し、再エネ出力制御の低減効果が高いと考えられる。
広域機関では、下げ調整の扱いについて、今後も資源エネルギー庁と連携して検討を進める予定としている。
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