2030年目標に向けた再エネ導入、関係省庁別の施策の進捗状況は?自然エネルギー(1/4 ページ)

「再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会」第53回会合で、2030年エネルギーミックス達成に向けた進捗状況について、環境省・国土交通省・農林水産省による報告が行われた。各省が管轄する再エネ導入施策について、足下の状況と今後の見通しが明らかになった。

» 2023年08月17日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 再エネ導入や脱炭素社会への転換のためには、民間企業だけでなく、国や地方公共団体における取り組みも重要である。また2030年エネルギーミックス達成に向けては、資源エネルギー庁だけでなく、関係省庁との連携も必要とされる。

 再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会の第53回会合では、2030年エネルギーミックス達成に向けた進捗状況について、環境省・国土交通省・農林水産省に対するヒアリングが行われた。

公共施設における太陽光発電の導入

 国は地球温暖化対策推進法(温対法)に基づき、政府の事務・事業に関する温室効果ガス(GHG)の排出削減計画である「政府実行計画」を策定しており、2030年度までに50%削減(2013年度比)することを目標としている。

 同計画では、2030年度までに、太陽光発電が設置可能な建築物(敷地含む)の約50%以上に太陽光発電設備を設置することを目指している。

 国が保有する建築物における新規導入ポテンシャル13,349件、約610MWのうち、2022年度時点における設置実績は908件、431kW(導入割合6.5%)に留まっている。また、地方公共団体が保有する建築物の総数は441,233件であるが、自治体区分別の太陽光発電設備設置実績は図1のとおりであり、合計29,697件、761MWとなっている。

図1.自治体区分別の地方公共団体施設における太陽光発電設備設置実績 出典:環境省

 このような公共部門の率先実行により、2030年度エネルギーミックス達成の内数として、6GWの太陽光発電の導入が見込まれている。

 今後、地方公共団体を含む2030年度までの公共部門の導入目標達成に向けて、関係府省庁が参加する連絡会議を新たに設置し、施設種別のkWベースでの太陽光発電の導入目標の策定・精緻化を行い、各府省庁で太陽光発電の整備計画を立てる予定としている。

地域共生型再エネの導入

 再エネの最大限の導入のためには、地域における合意形成が図られ、環境に適正に配慮し、地域に貢献する、地域共生型の再エネを増やすことが重要である。このため環境省では、地域脱炭素ロードマップに基づき、2025年度までに少なくとも100カ所の「脱炭素先行地域」を選定することを目標としており、現時点の選定数は合計62地域に上る。

 また、温対法に基づく地域脱炭素化促進事業制度では、市町村は、地域共生型の再エネを推進する「再エネ促進区域」を設定することが可能であるが、現時点の促進区域設定数は12市町村に留まる。

図2.地域脱炭素化促進事業制度の仕組み 出典:環境省

 環境省では、促進区域の設定に向けたゾーニング等の取り組み(地域の特性に応じた適正な環境配慮に係る情報収集、自然環境等調査、マップ作成)を支援しており、これまで30自治体(2県、28市町村)が支援事業によるゾーニングを実施中である。

 2030年度エネルギーミックス達成の内数として、4.1GWの地域共生型太陽光発電、0.6GWの陸上風力発電の導入が見込まれている。

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