積水化学工業が大阪本社が入居する堂島関電ビルにフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装したと発表した。日本国内における建物外壁へのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の常設設置としては、国内初の導入事例になるという。
積水化学工業は2023年10月5日、大阪本社が入居する堂島関電ビルに自社開発のフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装したと発表した。日本国内における建物外壁へのフィルム型ペロブスカイト太陽電池の常設設置としては、国内初の導入事例になるという。
ペロブスカイト太陽電池は、軽量かつ柔軟に製造可能という特徴を持ち、ビルの壁面や耐荷重の小さい屋根、あるいは車体などの曲面といった、さまざまな場所に設置できる次世代太陽電池として期待されている。また、塗布などによる連続生産が可能であること、レアメタルを必要としないなどのメリットも持つ。
これまで国内では既存建物外壁にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を実装した例はなかったが、積水化学工業では地上12階の風荷重に20年相当耐え、安定した発電性能を維持した設置方法を積水樹脂と共同検討した。その結果、フィルム型ペロブスカイト太陽電池付き建材パネルを完成させ、このほど設置に至ったという。
堂島関電ビルは大規模リニューアル工事を実施中であり、2025年4月に完工を予定している。当該工事に合わせてペロブスカイト太陽電池を壁面に設置することで、ビルの環境負荷低減に加え、ペロブスカイト太陽電池による発電量のモニタリングや経年変化など、長期的な品質評価に活用する。
同社では今回の設置方法における発電効果測定、予測値と実測値の検証に加え、既存建物外壁への設置・施工方法の検討をさらに進める。また、2023年度から本格化している各種用途における技術検証と並行し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金も活用することで、1m幅での製造プロセスの確立、耐久性や発電効率のさらなる向上に向けた開発を加速し、2025年の事業化を目指す方針だ。
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