営農型太陽光発電の制度改正に関するパブコメが公表、既存案件への影響は?ソーラーシェアリング入門(65)(2/2 ページ)

» 2024年03月13日 07時00分 公開
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既存案件も再許可申請では対応が必要に

 ここは重要なポイントなので、個別に取り上げておきます。施行期日時点で既に農地の一時転用許可を受けている営農型太陽光発電事業については、再許可を申請する時点で改正後の農地法施行規則並びにガイドラインの適用を受けることになる点に注意が必要です。

 そのため、2024年4月1日以降に一時転用許可の再許可を申請する場合には、新たに規定された書類などの準備が必要になります。また、施行期日前に一時転用許可の申請を提出している事例については、現行の農村振興局長通知に基づく規定が適用されることになります。

今後のスケジュールと見通し

 改正省令は既に公布され、施行日も確定していますが、ガイドラインについては現時点でまだ“案“の状態となっています。改正省令の施行日と同時にガイドラインも発行されることになるはずなので、おそらくは月内に確定版になっていくでしょう。

 今回、営農型太陽光発電の「規制強化」が実現したことにより、それを根拠にした営農型太陽光発電事業者に対する指導などが段階的に各地で行われていくことになると同時に、一時転用許可の再許可申請を迎える事業では新たなルールへの対応に追われることが予想されます。そうした一連の対応が済んでいけば、次はやっと「普及させるべき営農型太陽光発電は何か」という議論が出来るようになるでしょう。

 現在、国会で議論されている食料・農業・農村基本法改正案では、残念ながら農業におけるエネルギー自給戦略の目線が欠けていることもあり、「真の食料安全保障」を確立するために農業・農村での再生可能エネルギー導入をどう果たしていくかが、次のステップにつながっていくと考えています。こちらはまた、記事で取り上げたいと思います。

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