営農型太陽光発電の制度改正に関するパブコメが公表、既存案件への影響は?ソーラーシェアリング入門(65)(1/2 ページ)

営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)について解説する本連載。今回は営農型太陽光発電への規制に関連する制度変更について、年末年始にかけて実施されたパブリックコメントの結果を速報します。

» 2024年03月13日 07時00分 公開

 2023年12月から年始の1月2日にかけて行われた、営農型太陽光発電に関する農地法施行規則の一部改正案と、営農型太陽光発電に係る農地転用許可制度上の取り扱いに関するガイドライン案のパブリックコメント結果が公表されました。また、農地法施行規則については2024年3月4日付けで公布が行われています。今回はその内容について速報します。

 なお、改正省令並びにガイドライン案の全文は、農林水産省の下記のページに掲載されています(ページ中段部分、画像をクリックでWebサイトへ)。

農林水産省のWebサイト(クリックでWebサイトへ)

農地法施行規則の一部を改正する省令の公布

 まず、農地法施行規則の一部を改正する省令は、パブリックコメントの結果の公表日と同じ3月4日付けで公布されました。これにより、施行期日となっている4月1日付けで施行されることが確定しました。

 パブリックコメントに寄せられた意見は28件でしたが、主な意見の内容を見ていくと、法律の専門家からと思われるような内容がいくつか見受けられたほか、知見を有する者の意見書や栽培理由書などに関する意見が目立ちました。

 今回の改正省令については、前回の記事で取り上げた通り営農型太陽光発電の一時転用許可を「許可してはならない」理由が明記されたほか、追加された書類についても毎年の報告書の提出に関する誓約、営農計画を含めた収支に関する事項の追記がなされています。形式的な事項が多く、パブリックコメントの意見への農林水産省の考え方でも、詳細はガイドライン等で定めるといった見解が示されています。

農地転用許可制度に関するガイドライン案

 改正省令は既に公布されましたが、ガイドラインについては同日時点でまだ案のままとなっており、発令の日付が空白のままになっているほか、農林水産省のWebページでも「※施行までに修正が加わる可能性があります」との注意書きがなされています。

 今回のガイドライン案に対するパブリックコメントに寄せられた意見は66件となっていますが、現時点ではまだガイドラインが確定版になっていないため、何らかの変更が行われていく可能性があるといえます。ガイドライン案には私も複数のコメントを提出しましたが、いずれも上手くかわされてしまったという印象です。

 また、多くのコメントが寄せられた結果として、今まで判断や解釈が曖昧だった、あるいはよく知られていなかった事項について、ある意味で「公式」の解釈が示された部分もあり、これについては別の機会で詳しく解説してみたいと思います。個人的に明確になったポイントは、「営農型太陽光発電設備の下部の農地の面積は、当該設備の存する区画全体の面積」と整理されたところでしょうか。「営農型太陽光発電の設備下以外は営農しない」という事例が問題視されていたので、それに対する基準が明確化されました。

 全体としてパブリックコメント時の案から変更はありませんが、制度運用の細かい部分については、ガイドラインとは別にQ&Aで解説を加えていくという見解が示されている項目も複数ありますので、今後はそちらの内容にも注目していく必要があるでしょう。

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