次にバイオ燃料を社会に普及させる上での課題を世代ごとに確認する。
主な生成物であるバイオエタノールは、トウモロコシ生産量が多い米国とサトウキビ生産量が多いブラジルをはじめ、世界各国で既に商用化されている。国・地域によってその導入義務量は異なるが、ガソリンにバイオエタノールを混合するかたちで導入されており、その混合割合に応じてE10などと呼ばれている(「E」はエタノールの頭文字で、「10」は混合比率を表す)。図2に示す通り、米国では平均してE14、ブラジルではE27.5以上での混合による導入が進んでいる。
図2 グローバルでのバイオエタノール混合ガソリンの導入状況 出典:USDA Foreign Agricultural Service, “Biofuels.”(2020)(https://www.fas.usda.gov/commodities/biofuels.)およびJ. Lane, “The Digest’s Biofuels Mandates Around the World 2020,” Biofuels Digest, 2020.(https://www.biofuelsdigest.com/bdigest/2019/12/31/the-digests-biofuels-mandates-around-the-world-2020/)よりクニエ作成日本においては、品質の観点からバイオエタノールそのものではなく、バイオエタノールに石油系ガスであるイソブテンを合成したETBE(エチル・ターシャリー・ブチルエーテル)をガソリンに混合したバイオガソリンが導入されているものの、E3相当のETBEを原油換算50万kL(バイオエタノール換算で約82万kL)程度の導入量となっており、他国と比べた際にその導入量は少ない。日本での普及が比較的進んでいない原因は、バイオエタノールの調達コストの問題が大部分を占める。調達コストが高くなる理由は以下の2つだ。
日本のみならず世界的に共通する第一世代由来のバイオエタノールの課題は、やはり原料の穀物類(トウモロコシやサトウキビなど)が食糧と競合することである。世界の人口と比例して、トウモロコシやサトウキビは食糧としても需要が増え続けることが予想されるため、用途として「燃料 VS 食糧」の構図となるのである。このことは、食糧問題が避けられない第一世代由来のバイオエタノールではなく、食糧と競合しない第二世代以降のバイオエタノールを含むバイオ燃料の研究開発が進められてきた背景でもある。
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