種類別に見たバイオ燃料の普及課題、足元の本命となる燃料はどれなのか?バイオ燃料の社会普及に向けた将来展望(1)(2/3 ページ)

» 2024年05月27日 07時00分 公開
[株式会社クニエスマートジャパン]

バイオ燃料の普及実現に向けた課題

 次にバイオ燃料を社会に普及させる上での課題を世代ごとに確認する。

(i)第一世代

 主な生成物であるバイオエタノールは、トウモロコシ生産量が多い米国とサトウキビ生産量が多いブラジルをはじめ、世界各国で既に商用化されている。国・地域によってその導入義務量は異なるが、ガソリンにバイオエタノールを混合するかたちで導入されており、その混合割合に応じてE10などと呼ばれている(「E」はエタノールの頭文字で、「10」は混合比率を表す)。図2に示す通り、米国では平均してE14、ブラジルではE27.5以上での混合による導入が進んでいる。

図2 グローバルでのバイオエタノール混合ガソリンの導入状況 出典:USDA Foreign Agricultural Service, “Biofuels.”(2020)(https://www.fas.usda.gov/commodities/biofuels.)およびJ. Lane, “The Digest’s Biofuels Mandates Around the World 2020,” Biofuels Digest, 2020.(https://www.biofuelsdigest.com/bdigest/2019/12/31/the-digests-biofuels-mandates-around-the-world-2020/)よりクニエ作成

 日本においては、品質の観点からバイオエタノールそのものではなく、バイオエタノールに石油系ガスであるイソブテンを合成したETBE(エチル・ターシャリー・ブチルエーテル)をガソリンに混合したバイオガソリンが導入されているものの、E3相当のETBEを原油換算50万kL(バイオエタノール換算で約82万kL)程度の導入量となっており、他国と比べた際にその導入量は少ない。日本での普及が比較的進んでいない原因は、バイオエタノールの調達コストの問題が大部分を占める。調達コストが高くなる理由は以下の2つだ。

  • (a)国産バイオエタノールの場合……日本の土地は比較的狭く、気候や土壌条件なども加わることでバイオエタノールの原料となる可食バイオマス(トウモロコシやサトウキビなど)の生産コストが高くなってしまう。
  • (b)海外からの輸入の場合……バイオエタノールそのものを日本に輸入して国内のETBE製造装置で処理することでETBEとし、それをガソリンとブレンドする製造プロセス、あるいは海外にてバイオエタノールをETBEに処理してから日本へ輸入しガソリンとブレンドする製造プロセスの2パターンが考えられ、日本ではいずれも実際の事業として用いられている。しかし、どちらのプロセスにおいても輸入する際の運搬コストがかかるため、生産コストは(a)と比べて安価なものの、最終的な調達コストが高くなってしまう。

 日本のみならず世界的に共通する第一世代由来のバイオエタノールの課題は、やはり原料の穀物類(トウモロコシやサトウキビなど)が食糧と競合することである。世界の人口と比例して、トウモロコシやサトウキビは食糧としても需要が増え続けることが予想されるため、用途として「燃料 VS 食糧」の構図となるのである。このことは、食糧問題が避けられない第一世代由来のバイオエタノールではなく、食糧と競合しない第二世代以降のバイオエタノールを含むバイオ燃料の研究開発が進められてきた背景でもある。

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