容量市場がスタートして以降、初の開催となった「追加オークション(実需給年度:2025年度)」。このほど公開されたその約定結果の内容をまとめた。
容量市場制度開始以来、初となる追加オークション(実需給年度:2025年度)が2024年5月に開催された。追加オークションとは、メインオークション実施後の想定需要や供給力の変化を踏まえ、実需給年度の1年前に実施するオークションである。
今回の追加オークション(調達オークション)は、メインオークション契約容量に、容量市場外の見込み供給力等を加算しても供給信頼度を充足していないと判断された「北海道・東京・九州」の3エリアを対象として実施され、その約定結果が広域機関より公表された。
調達オークション約定総容量は約133万kW、経過措置を踏まえた約定総額は約105億円に上る。各エリアのエリアプライスは、同じ実需給年度(2025年度)を対象としたメインオークション約定価格と比べると、高いもの/安いものさまざまである。なお、追加オークションのNet CONEは10,013円/kW、上限価格(Net CONEの1.5倍)は、15,019.5円/kWであった。
現在、電力の安定供給の程度を表す基準「供給信頼度」として、需要1kWあたりの年間停電量の期待値である「EUE」が広く用いられている。厳気象等に対応すべき供給予備力は毎年変わり得るため、容量市場では、一定の「目標停電量(EUE)」を達成するための供給力を調達している。最新の諸元を用いて算定した2024年度追加オークションにおける目標停電量は0.033kWh/kW・年となり、目標調達量は1億8,399万kWであった。
表3のように、北海道・東京・九州エリアでは、この目標停電量(供給信頼度)0.033kWh/kW・年を充足しておらず、相対的に停電リスクが高いと考えられるため、調達オークションが開催された。
ところが、上限価格の範囲で供給力を調達したものの、東京・九州エリアでは不足状態のまま追加できる電源がなくなったため、そのまま約定処理を終了した。資源エネルギー庁では、これらのエリアも実需給年度において直ちに供給力が不足するわけではないとして、需給状況を注視し、必要に応じて供給力対策を検討することとしている。
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