同じくデロイトトーマツコンサルティングでは、レーダー等による制約条件を反映し、洋上風力の導入ポテンシャルを推計した。レーダー以外の条件としては、以下のエリアはポテンシャルの推計対象外としている。
レーダー制約を設けない場合と比べ、特に離岸距離22km以内では、レーダー制約により導入ポテンシャルが大きく減少する。
ちなみに日本風力発電協会では、2050年の洋上風力導入目標を着床式で40GW、浮体式で60GWとしており、ポテンシャルは十分に大きいと考えられる。
レーダー制約の有無により異なるが、洋上風力のポテンシャルは、九州エリア、北海道エリアで非常に大きいことが明らかとなった。
地球環境産業技術研究機構(RITE)では、内外価格差を考慮した洋上風力発電コスト及び導入ポテンシャルを推計している。洋上風力発電に係るインフラ・サプライチェーンが構築されている欧州と、それ以外の台湾・米国における着床式洋上風力の資本費は、約1.36倍の開きがあることを踏まえ、日本でもこの1.36倍の内外価格差を考慮することとした。
着床式洋上風力(離岸距離20km・深度20m)の2020年設備費を、IEA Offshore Wind Outlookに基づき47.9万円/kWとして、離岸距離と深度に応じてコストを反映する。また、浮体式については既往調査に基づき、着床式の1.38倍になると想定する。
洋上風力の設備利用率については、IEAでは離岸距離360 kmまで推計しているが、RITEではより現実的に離岸距離60 kmまでのポテンシャルを推計することとして、設備利用率に係数0.78を乗じて補正する。
なお、RITEの世界エネルギー・温暖化対策評価モデル「DNE21+」は世界モデルであるため、日本だけでなく世界全体の洋上風力ポテンシャルが同時に推計され、日本の洋上風力ポテンシャル(年間発電電力量)は、着床式で30TWh、浮体式で2,224 TWh、と推計される(1TWh=10億kWh。つまり着床式で300億kWh、浮体式で2.2兆kWh)。仮に日本の2050年電力需要を1.5兆kWhと想定したとしても、これを十分に賄えるポテンシャルがあると考えられる。
今後、再エネ大量導入小委では、導入ポテンシャルと実際の導入量のギャップを埋める施策について、検討を深めることが期待される。
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