「GX2040ビジョン」の策定に向けた論点――国力を左右するエネルギーの将来戦略第12回「GX実行会議」(1/5 ページ)

グリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けた効率的な国内投資の後押しを目指し、国は長期視点での「GX2040ビジョン」の策定を進めている。第12回「GX実行会議」では、同ビジョンの策定に向けた4つのフレームワークに基づくさまざまな論点が整理された。

» 2024年09月06日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 国はエネルギー安定供給確保、経済成長、脱炭素の3つの同時実現を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)を進めており、2023年5月にはGX推進法が成立、2023年7月にはGX推進戦略が閣議決定された。一方で国際情勢等の変化により、エネルギー安定供給確保の不確実性は高まっている。

 このため、国は出来る限り事業環境の予見性を高め、日本の成長に不可欠な付加価値の高い産業プロセスの維持・強化につながる国内投資を後押しするため、産業構造、産業立地、エネルギーを総合的に検討し、より長期的視点に立った「GX2040」のビジョンを示すこととした。

図1.GX2040ビジョン 検討のイメージ 出典:GX実行会議

「GX実行会議」の第12回会合では、年末のGX2040ビジョン策定に向け、「エネルギー・GX産業立地」「GX産業構造」「GX市場創造」「グローバル認識・ルール」の4つのフレームワーク及び10の論点が、検討のたたき台として示された。

フレームワークI.エネルギー・GX産業立地

論点1.DXによる電力需要増に対応するため、徹底した省エネ、再エネ拡大、原子力発電所の再稼働や新型革新炉の設置、火力の脱炭素化に必要な投資拡大

 DXやGXの進展に伴い、今後、電力需要の増加が見込まれている。FIT/FIP制度等により再エネ電源の導入が拡大してきたが、足元では導入速度が鈍化している。また、安全性が確認された原子力発電所の再稼働を進めているが、新たに原子力発電所の建て替えが行われない限り、中長期的に原子力発電の設備容量は減少する見通しである。

図2.再エネ導入容量・原子力設備容量 出典:GX実行会議

 原子力等の大型電源は投資額が大きく、総事業期間も長期間となるため、収入・費用の変動リスクが大きく、それらを合理的に見積もるには限界がある。事業者の予見可能性を高めるには、このようなリスクに対応するための事業環境整備を進める必要がある。

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