脱炭素を実現するまでの移行(トランジション)の手段として、低炭素電源であるガス火力を活用していく必要がある。LNG価格の高騰や供給途絶などのエネルギー安全保障リスクに備え、必要なLNGの長期契約を官民一体となって確保する。
また、第6次エネルギー基本計画では、非効率な石炭火力を段階的にフェードアウトしていく方針が示されており、大手石炭火力発電事業者が保有するSC(超臨界圧)以下の発電電力量は、2019年度から2030年度に向けて、760億kWh以上減少する見通しである。石炭火力発電電力量を減少させながら、電力の安定供給を確保していくには、予備電源制度などの制度的措置とセットでの議論が必要となる。
日本では、脱炭素エネルギーの供給は地域的に偏在している。よって、「需要を脱炭素エネルギーの供給地域に移動させる」といった発想に基づく立地誘導を進める必要がある。光を利用した革新的技術が進めば物理的距離が制約条件とならなくなるため、データセンターなどの需要側が供給側に近接することは、効率的・効果的な電力系統整備において有益である。よって、日本全体を俯瞰して、次世代の電力系統整備と通信基盤の一体的な整備を可能とする次世代型電力・通信一体開発計画等について、今後、官民で検討を進める。
カーボンニュートラルの達成には、電力の脱炭素化だけではなく、熱需要の脱炭素化のため、水素・アンモニア等の脱炭素燃料が必要となる。当面の間、水素等の価格は高額であるため、国内外でのサプライチェーンの構築に向け、化石原燃料との「価格差に着目した支援」や供給拠点整備に対する支援策を実施する。
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