先述のとおり、変動性再エネがΔkW(上げ調整力)を供出するために、あらかじめ自ら出力抑制するならば、逸失利益が発生する。
他方、太陽光等による余剰電力が生じると予想される場合には、優先給電ルールに基づく再エネ電源の出力制御が、対価の支払いなく実施されている。この場合、上げ調整力の供出には逸失利益が発生せず、この調整力を活用することは社会全体から見ても合理的と考えられる。
現在、再エネ電源の出力制御が必要となる場合、オフライン電源は前日17時、オンライン電源は当日の実需給2時間前に、再エネ電源の出力制御が指示される。ところが、需給調整市場では前日14時が入札締切であるため、この時点では出力制御の実施の有無が分からないといった課題がある。
また、JEPXスポット市場価格が0.01円/kWhになる場合にはほぼkWh収益が得られないため、自ら出力を抑制しΔkW応札することも考えられるが(逸失利益は0.01円/kWh)、スポット市場価格をあらかじめ正確に予測することは難しいという、同じ課題を抱えている。
これらの課題は、優先給電ルールの仕組みと整合的な解決が必要となるため、国と連携の上、引き続き検討を進める予定としている。
屋根置き太陽光の「設置余地」 省エネ法の対象事業者が定期報告へ
導入が加速する再エネ・系統向け蓄電システム、現状のコストと収益性の見通しは?
日本の太陽光・風力発電の導入ポテンシャルは? 新たな試算結果が公表Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10