洋上風力発電の事業リスクを軽減、インフレ等に対応する価格調整スキームを導入へ第26回「洋上風力促進WG」(2/5 ページ)

» 2024年10月01日 10時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

再エネ海域利用法公募の迅速性評価

 再エネ海域利用法による公募選定では、その第2ラウンドから、2030年エネルギーミックス等の政策目標に資する計画を高く評価するため、迅速性評価を採用している。

 基礎設置や風車据付等の標準的な海上施工期間等を考慮し、基地港湾の利用開始後2年9ヶ月目を「想定される最速の運転開始時期」として、これに更なる事業者の創意工夫(6ヶ月)を考慮した時期に満点20点を与え、2030年度末の0点をつなぐ階段形状に基づき、配点を行うものである。

図2.第2・第3ラウンドの階段形状と第2ラウンドの運転開始日入札実績 出典:洋上風力促進WG

 これにより、事業者選定日から運転開始日までの平均期間は、第1ラウンド選定事業者(長崎県五島市沖を除く)では7年7ヶ月であったのに対して、迅速性を採用した第2ラウンドでは、選定事業者では5年3ヶ月、公募参加者全体では6年1ヶ月と、大幅に期間が短縮される結果となった。

迅速性評価方法の見直し

 先述の通り現行の迅速性評価制度では、「想定される最速の運転開始時期」とは、港湾の利用可能期間を踏まえて設定されている。しかしながら、第2ラウンド公募では基地港湾を含む複数の港湾を利用する計画が提出されており、今後も多様な事業計画が提出されると想定される。

 よって今後のラウンドでは、「最速の運転開始時期」は、港湾の利用期間に依存しない各海域統一の考え方を設定することとして、具体的には「6年」を通常要する期間(基準日)とする。これは、第2ラウンド公募全参加者の運転開始平均期間(6年1カ月)や、海外における直近の運転開始期間が約6年であることを根拠としている。

 「6年」から更なる事業者の創意工夫(6ヶ月)を考慮した期間である5年6ヶ月を満点(20点)として、開発期間に応じて段階的に減点していく配点の考え方は、従来と同じである。

 ただし、現行の階段状配点については、階段の幅が長く、階段ごとの点差が大きいため、高得点を得るためには事業者に無理な事業計画を策定させる懸念がある。また、今後のラウンドで各海域統一の考え方とする場合、20点から0点までの幅を一定期間とらなければ海域の状況によっては0点しか取れないことも考えられる。

 よって今後は、階段の幅・高さを細かく刻むこととして、階段一段で例えば2点ごと減点するなど、具体的な配点は今後の検討とする。

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