電力需要に対する供給力の余力を示す「広域予備率」が低下傾向に。電力広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」ではその低下要因の分析や、供給力の追加に関連する施策の状況確認が行われた。
電力の安定供給確保のため、適正な予備力・予備率を確保することは重要である。このため、一般送配電事業者各社はエリア予備率を算出し、広域機関ではエリア予備率を基に、地域間連系線を最大限活用した「広域予備率」を算出し、前週〜当日の各断面で公表している。
2024年度以降、容量市場による供給力kWの受け渡しが開始されたことや、需給調整市場が全面開始したことに伴い、広域予備率の算出に用いる供給力の計上方法が変更された。この計上方法の変更は、広域予備率を需給状況のシグナルとして、発電事業者には供給力の供出を促し、小売事業者には供給力の調達を促すことを目的としたものである。
しかしながら、この変更により、2024年度は2023年度以前と比較して広域予備率が小さくなる傾向があることや、週間・翌々日計画断面から翌日計画断面に向けて広域予備率の数値が大きく変動するという課題が生じている。前週時点で広域予備率が8%を下回る際には「供給力提供準備通知」が発出されるにも関わらず、実需給断面では十分な予備率があるなど、需要家等の混乱を招く状態となっている。
このため、広域機関の「調整力及び需給バランス評価等に関する委員会」では、広域予備率の低下要因やシグナルとしての有効性について、検討が行われた。
発電機の起動やDRの実施準備には一定の時間が掛かるため、広域予備率を改善するためには、発電事業者等に対して早めのアナウンスが必要となる。
このため、広域予備率が8%未満となることが想定される場合、容量確保契約を締結した発電事業者等に対して、週間計画から翌日計画の断面では、『広域予備率低下のおそれに伴う供給力提供準備通知』を発信し、翌日計画公表以降は『広域予備率低下に伴う供給力提供通知』を発信することとしている。
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