ここまで、広域予備率の低下要因を報告してきたが、広域機関では、事業者に対する「シグナル」としての広域予備率の実効性についても確認を行っている。
広域機関では、7〜8月の「供給力提供準備通知」による東京エリアの発電事業者の行動を分析したところ、表3のように、余力活用契約を締結する電源(揚水発電を除く)は、翌々日計画ではあまり変化が見られない。資源エネルギー庁によるヒアリング調査においても、「準備通知」を受けても特段の対応を行っていない事業者が大半であることから、「準備通知」は事業者の自発的な行動を促すものとはなっていないと考えられている。
翌日計画時点を見ると、東京エリアではバランス停止機の起動が進み、ほぼ全ての発電機が並列している(H3需要に対するバランス停止比率0.5%)のに対して、中部・関西エリアでは5%程度のバランス停止機が残っているなど、エリアによる違いが生じている。
また広域予備率はシグナルとして、小売事業者に不足インバランスの解消を促すことも目的としている。翌日計画の広域予備率が低下したコマを分析したところ、不足インバランスを低減するため需要調達計画を変更する動きはあるものの(3エリア平均77%)、不足インバランスを完全に解消している割合は、関西で4%、東京で34%と低いことが明らかとなった。
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